【2023春アニメ】私の百合はお仕事です!【最終話(12話)後感想・評価】


【総評】ユーティリティの高い主人公を評価してあげたい
点数:73

筆者が観測した本作の概要

『私の百合はお仕事です!』はコミック百合姫で連載されている百合アニメだ。「開幕から百合百合うるせぇなユリゲラーかお前は」とおもった貴方にユリゲラーは百合百合言っていない事を伝えておきたい。

本作は、誰からも好かれる自分であろうと振る舞う『外面を良くする癖』がついてしまっている主人公の白木陽芽が、謎のコンセプトカフェで働く物語だ。主人公と同じカフェで働く矢野美月は、主人公と過去交友があった人物であるが、いざこざがあって喧嘩別れをしていたため険悪な関係から始まる。そこから徐々に心を開いていき、最後には百合の花が咲く物語となっている。

前半感想

特筆すべきは物語のコンセプトの良さに他ならない。主人公の陽芽の表現を借りれば、本作は「外面(そとづら)」をテーマにした作品であり、コンセプトカフェのキャラクターを演じる事求められる環境で、登場人物達の外面との向き合い方が繊細に描かれている。

感想を言う前に本作の設定をおさらいをしておきたい。

・陽芽と矢野は小学校時代は仲が良い友人だった。
・「陽芽ちゃんは外面つかいまくって皆に嘘をついている(本当の友達は私だけ)」的な発言をクラスでぶちかましてり、陽芽の小学校時代を台無しにしている
・コンセプトカフェで姉妹(シュヴェスター)の契りを結んでいるため、お店的には関係を断つことが出来ない
・陽芽は矢野が根本的に悪い奴だとは思ってらず、「外面(そとづら)」が下手なだけだとおもっている

これらの背景を踏まえると「関わりたくないけど、関わらざるを得ず、本当は関わりたい」という百合少女の内面を繊細に描く完璧な舞台が揃っている。

最初はちょっと険悪、正体が矢野であることに気付いてからは超険悪。そこから徐々に歩み寄っていく二人。最終的には小学校時代以上の関係にたどり着くという「困難を乗り越えた最強百合カップル」の誕生を見届ける事が出来る。ここがこの作品の非常に良い所だ。

キャラクターのデザインも良好で、作画は全く文句が無いレベル。主人公の小倉唯の声がかなりハマっており高い完成度秘めている。

後半感想

皆さんは百合作品の展開にはいくつかパターンがある事をしっているだろうか?
①カップルのいずれか一人がサイコレズになる
②カップルとは別の所からサイコレズが乱入してくる

上記①②のいずれかを必ず経由する。百合作品にサイコレズは付き物なのだ。本作では②のパターンが該当しており、その原因がサイコレズが間宮 果乃子である。

果乃子は主人公陽芽のに対して「私にだけは本当の姿を見せてくれる人」という強烈な執着を持っており、メンヘラレベルが高い人物だ。完全に小学校時代の矢野と同じ状態であり、主人公白木陽芽が”メンヘラ製造機”である事は言うまでもない。

ちなみに果乃子は陽芽への思いを橘先輩に打ち明け”橘さんが良き理解者となる事で平穏を取り戻す”という形で物語は収束に向かう。ちなみに彼女達もシュヴェスターの契りを結ぶこととなる。15年くらいオタクやってるやつは”果乃子と純加の悲しいレズセックス”とか言いそう。

まとめ

最終話でも陽芽と矢野は良好な関係とはいかないが、陽芽に振り回される矢野が恋する少女と化しており百合アニメユーザが求める映像が描かれている。全編部分のタメがデカかっただけに破壊力がある。

最終話で矢野が「私の乳がエロいのか」的な発言してるクダリは草生えた

作品の設定や展開に文句は1つも無いのだが、登場人物達の働くコンセプトカフェのコンセプトの癖が強すぎて終始草が生え散らかすということは伝えておきたい。

『丘の上にある架空のお嬢様学校をイメージしたリーベ女学園のサロンという設定であり、店員は学園生として訪れた客に給仕を行う。とりわけ親しい仲の二人にはシュヴェスターの契りがおこなわれ、クロイツを交換する事で契りが成立する。リーベ女学園では人気投票のような形でブルーメ・デア・リーベを決定する』

わけわからんカタカナばっかりでさっぱり理解できないが、上記設定を楽しむためにお客さんが殺到しほぼ毎回満席となっている。

なんだこの世界観。そしてこの世界観を求めている客の多さ。意味不明なカタカナが飛び交う上にお嬢様口調でいちゃつく店員をみてはしゃぐ客が描かれるわけだが視聴者はついていけているのだろうか?私はついていけなくて草が生え散らかしていた。

意味不明なバイト先を除いてしまえば、王道ラブコメディが描かれており百合アニメとしてクオリティは高い。今時珍しいぐらいシリアス・険悪な空気が継続的に包んでおり、昨今のアニメファンには刺さらないかもしれないが、私個人は人間関係はこれくらい困難な方が物語にし甲斐があると思ってしまうのだ。

作画良好・展開良好・キャラクター良好・結末は上々・ただしバイト先は意味不明。
驚くような展開もあり、空気になりがちな百合アニメにしてはなかなか見応えのある作品だったのでは無いだろうか?

主人公の白木陽芽が「裏表があるけど基本は真面目」「真面目な話もボケた話もいける」「メンヘラを製造する」と、かなりユーティリティの高いキャラクターだったので結構好きでした。お疲れ様でした。


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