【2023春アニメ】ワールドダイスター【最終話(12話)後感想・評価】


【総評】キーワードは”シリウス座の怪人”、視聴者はどこまでついていけたのだろうか。
点数:80

筆者が観測した本作の概要

本作『ワールドダイスター』はメディアミックス作品である。「“演劇”ガールズ」プロジェクトと呼ばれ、アニメとゲームアプリを主軸として展開されるとかなんとか。作中では“センス”と呼ばれる、いわば能力を持つ少女達が舞台上でその力を発揮する姿が描かれている。

原案は『結城友奈は勇者である』、『アカメが斬る』等のアニメ作品でも知られるタカヒロ氏が担当している。これを良しとするかどうかは視聴者によるだろう。私個人としては独特の世界観を作ってくれる人なので、結構楽しみなんだけど、手放しで「100%面白くなる」と信頼できるほどではない位置づけである。その結果がどうだったか確認していこう。

前半感想

前半で語るべきは1話のびっくり設定だろう。主人公ここなには静香という友人がおり、行動を共にしている。この静香の演技の真似をすることで状況を打開していくのだが、実は静香は他の人には見えていないというシーンで1話が締められる。

この設定も割と早めの3話のかぐや姫の演目で、静香が他の人にも視認できる事となる。この設定何処まで活かすことが出来るだろうか?こういうイマジナリーフレンド的な演出、他の作品でもあったような気がする。「がっこうぐらし」とか。後は、、、出てこないな。

キャラクターデザイン良好で、作画からも声優さんからも”制作陣のガチっぷり”が見れるのでかなり良好なオリジナルアニメとなっている。長谷川育美スキーの私からすればご褒美作品とすら思っている。いったい何に対する御褒美なのだろうか

後半感想

11話では静香の存在について言及される。オーディションに落ち続けるここなが抱えきれなくなった気持ちの拠り所は静香になっていたようだ。しかし、ワールドダイスターになるため必要な気持ちであり、静香は「主役じゃない私の物語はここで終わり」と告げてここなの中に還る事となる。

そして静香を取り戻した(失った)完全体ここなはオーディションで狂気的な演技を見せつけ、ファントム役を獲得する。

最終回はガッツリオペラ座の怪人のパートが放送される。実は制作陣の中に演劇のファンがいて、アニメ作品の中でこれがやりかっただけなんじゃないだろうか?「アニメでオペラ座の怪人」という新コンテンツに若干脳が混乱するも、最終話にふさわしいクォリティで描かれている。

オペラ座の怪人に時間を使い過ぎてエピローグは短め。演目の後、ここなと静香は改めて分離?することとなっており、ダイスターに認定されてのは新妻八恵だった。二人のワールドダイスターへの道はこれからだ!というありがちだか、良い締め方をしている。

11話では「これはここなが始めた物語」と静香は述べ、最終話ではここなから静香に対して「これは二人の物語」と告げる。最終話で再び静香が現れているのは、静香自身が“自分は脇役ではなく、ここなと共にワールドダイスターになる存在”と自認したからだと思われる。

この物語は2人の主人公がそれぞれの未来を見つめなおす物語だと言えるのかもしれない。「ワールドダイスターになる」と口にしながら、自分を信じ切れていなかったここなが自分を信じられるようになり、「自分は脇役、舞台に立つのはここな」と自分を抑えていた静香が、自分が舞台に立つと自分を信じるようになる。

え?めちゃくちゃ面白くないですか?この話。僕はめちゃくちゃ好きな内容だったんですけど。

まとめ

ここまでべた褒めだったが、本作視聴者が「めちゃくちゃ面白かった」と言っている気がしない。その原因についていくつか考えてみたので読み流して欲しい。

1つ目はキャッチーな1話に対して、割と王道な展開だったこと。

1話の最後では長谷川育美演じる静香はイマジナリーフレンド的な存在であることが明かされ、それが他人にも見える、主人公ここなのセンス(能力)だったわけである。これを見た視聴者は「うぉー!演劇を題材にした能力バトルの予感だぁー!!」「あいつやコイツの能力は何で、どんな展開になるんだぁ!?」となった人もいたのではないだろうか?

蓋を開けてみると新妻八恵のセンスについて少し言及されるだけで、他のメンバは愚かカトリナでさえセンスについての言及はない。センスとか言わずにここな特有の超常現象とした方が、『これはここなと静香の心の中が中心の物語』と伝わったのではないだろうか?

ぶっちゃけゲーム化を見越して、センス(能力)という世界観を先に伝えただけだと思うんだけど、、、結果的に余計なミスリードになりましたね。

2つ目は演劇ガチりすぎたこと。

演劇シーンについては声優さんの本気が見える上に、絵の枚数が凄い事になっているので非常にヌルヌル動く。この作品作っている人達はすげぇなと心底感心した一方で、演劇シーン長かったので「いやいや最終話だし、本編(ここなと静香)の話そろそろしよう?」と思ってしまった。

まとめると、「演劇能力センスをメインとする話」、「ゲームやキャラの宣伝」「アニメで演劇をガチりたい」「本筋のここなと静香の物語」これらの要素が、丁度良くないブレンドになってしまったので、とっちらかった印象になってしまった。メディアミックス作品の難しい所である。

とはいえ、ここなと静香の関係をオペラ座の怪人のクリスティーナとファントムに見立てた本作。ファントムに音楽を与えられたクリスティーナと、静香に演劇を与えられたここな。静香が、静香こそがオペラ座の怪人ならぬシリウス座の怪人という事ですか!?This is cool JAPAN on duty foooooooooooo!!!!!!!!

長谷川育美ファンの私は最高に楽しめましたけどね。制作陣の圧倒的な熱量に、置いてけぼりになった視聴者の気持ちも分かります。お疲れ様でした。

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