【総評】かける言葉が見つからない
点数:56
筆者が観測した本作の概要
『異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する~レベルアップは人生を変えた~』は良くある転生系無双アニメではあるのだが、現実世界と自由に行き来できる設定と現実世界でも無双するシーンが描かれているのが特徴的である。
異世界にクラスメイトも連れて行って無双している姿を誇示するタイプの転生物は過去にいくつかあり、その魅力の理解に苦しんだ。本作に至っては堂々と「現実世界で無双」と言い切っており、人間の底知れない自己顕示欲と承認欲求を感じさせるような、ある種絶望的な妄想作品だった。
前半感想
不細工な容姿で嫌われていた主人公が唯一の味方だった祖父のコレクションから異世界に行く手段を手に入れる。さらにそこで得たチートによって容姿端麗で運動神経も抜群。異世界でも無双できる強さがあるため、現実世界に限らず異世界でも無双している。
今更無双作品にどうこう言う気はないのでそれは置いておいて、本作の長所について触れておきたい。
「裏に潜む」と書いたが裏でも無いし、潜んでいない。表で踊り散らかしている本作の長所、それが「エロ可愛い女性陣」だ。
おそらく原作踏襲した絵柄は謎のエロスを抱えており、他の凡庸な絵柄のオタク向けアニメからは得られないエロさが醸し出されている。なんだかハリツヤが強調され、硬そうな印象を受けるビジュアルだが女性らしい線を持っている。作品の内容は見れたものではないが、女性陣に関しては独特な魅力がある。是非映像で見て欲しい。
後半感想
流し見だとしても毎週見ていると作品に対する解像度が上がってくる。そして認識できたことは「この作品はそんなに嫌な内容の作品では無い」という事だ。一瞬でぶっ飛ばされる不良などはあらわれるものの、作品が掲げる”討伐対象”のような悪役は出てこない。ここが良かったように思う。
見ているだけで不快になる悪役と安っぽい勧善懲悪劇場は無く、異世界では師匠のウサギと共に順調に強くなっていく王道ファンタジーが描かれる。ついでに描かれている現実世界の描写は、ただの”俺強すぎコメディ”の範囲でしかない。
何かを「見返してやる!」「懲らしめてやる!」とった悪意を孕んでいない事が分かれば、作品に対する嫌悪感はほとんどなくなった。だが、内容は相変わらずバチクソつまらない。だって最終話の内容は”醜い姿になった皇子を薬で美容整形して終了”。なんじゃそりゃ、しょーもな。
ラストバトルはウサギ師匠と対等に戦えるほど強力な少女と戦い、聖なる力ブタがなんか良い感じにする。その結果、美少女がまたパーティに加わって最終話が終了だ。
なんかこの作品この構図のシーン多くねぇか?
まとめ
本作は「異世界で無双したい」「現実でも凄いと思われたい」「そういう妄想が好き」という欲求に忠実に答えた作品であり、「誰に何を提供すればウケるか」。これを正確に抑えた賢い人が作っている作品のようにすら感じた。
一見小学生が作ったような作品に見えるが、正確には『小学生を装った大人が、ある程度狙って作った幼い内容の作品』って感じだ。
展開や描写が実直で分かりやすすぎるために、人気が出る事を目的とした異世界作品のように思う。骸骨騎士様とかはこれ系の位置付けになる気がする。逆にありふれとか盾の勇者とはか真性の感じがする
マス層読者の需要を読む能力、ターゲッティングと遂行力は素直に凄いと思っている。しかし、こんな意味不明なブログを呼んでいる読者に、投げかけておきたいのは”その人気が必要かどうか”と言う点である。
トゲのある表現をすれば
分かりやすい作品を作れば、バカが飛びつく。
小難しい作品を作ると、キモいオタクがこびりつく。
良識ある表現をすれば
面白さがわかりやすい作品は多くの人に支持される。
深い面白さをもつ作品は強い支持が得られる。
これはどちらが正解と言うことは無く、個人の好みの中にしか正解は無いだろう。
それでも私が問いかけたいの、「そういう人に受ける作品を作って、そういう人達に支持されて、それで良いんでしたっけ?」この一点に尽きる。
量的な評価よりも質的な評価を求める選択肢はどうだろうか。どれだけ多くの人にフォローされるか、よりもどんな人たちにフォローしてもらえるか。最近じゃこちらの方が重要な命題のような気がしてならない。
私には貴方が次に何をいうか想像がつきますよ。
「いやいや作者は金稼ぐために作品作ってるんだから売れるの正義でしょ」
「正解も何も売れて儲かるのが正解だろうが」
と言うんでしょう?
そんな貴方に私は言いたい。
あーーーーそこね!!!!
はい!はい!はい!はい!
お前今そこに居んのね!!!
「金稼いでる奴が正義」っていうやつね!!!
わかるわかる!!!あ-今お前そこいんのね!
作品に関係ない話を書いて本当に申し訳ございません。女性キャラクターと絵柄は凄く可愛かったので同じスタッフで別の作品を作っていただけると幸いです。お疲れさまでした。