【2023春アニメ】僕の心のヤバイやつ【最終話(12話)後感想・評価】


【総評】徹底討論、私はなぜ山田を好きになれなかったのか
点数:70

【筆者が観測した本作の概要】

本作は、週刊少年チャンピオンに連載される恋愛漫画が原作となっている。陰キャで中二病の主人公市川が、同じクラスの美少女JKモデル山田と距離を詰めていく物語だ。物語序盤では、市川は完璧JKの山田に見下されていると感じ、何故か殺意まで抱いている。しかし、図書室をはじめ交流を深めるごとに恋に落ちていく。

本作は何故か気が付いたら両想いになっており、美少女JKモデルがクラスの陰キャに恋をするって「いくら何でもそりゃありえまへんがな」と言いたいが、本作は『もうしそうなったら』というIF作品であるので、ここは言及しない事とする。本記事では普段の前半後半の感想ではなく山田杏奈というキャラについて考えてみる記事とする事とした。

この記事を読むことによって、山田というキャラの魅力を再認識出来たり、キャラクターの捉え方の一例を知ることが出来る、、、かもしれない。

【超手短に本作の感想】

ちなみに本作は作画もめっちゃよくて、あらゆるシーンが力が入っている。加えて市川がどんどん真人間に成っていく姿が楽しめる。市川は第一印象最悪だったけど徐々に好きになれたし、山田にドはまりする事は出来なかったが、決して嫌いなキャラでは無かった。

ただ、山田を好きになれた方が本作をもっと楽しめたんだろうなぁとは思っている。「70という点数は本ブログでは低くない方だよ」と改めて伝えておく。

【はじめに】

本作は作者の考える、もとい読者の求める理想の彼女シリーズなので、ありえないシチュエーションについては触れる事はしない。加えて私がこのタイプの主人公(市川)を好きではないのは周知の事実なのでこれも議論しない。

しかし、山田の事が刺さらないのは不思議な現象である。純粋で美人で恵体のヒロイン山田を好きになれないのは特殊な現象なのだ。だって高木さんも久保さんも長瀞さんも好きだったし、理想の彼女シリーズの作品の大体のヒロインは魅力を感じていたからだ。

【山田というキャラを掘り下げてみる】

まずは山田杏奈というキャラの実態を掘り下げてみよう。なるべく推測を避けた事実ベースの読みとりを徹底したい。「山田はモデルをやっている」「市川が怒っているか不安で泣いてしまった」これらはアニメ作中で描かれている事実であり、「山田は優しく明るい」「山田は人を内面で見ている」これらは作中の山田から視聴者が読み取った推測である。

①山田はファンッションモデルの仕事をしており、クラスに友達もいる女子高生

②クラスの人気者の男子や高身長のイケメンキャラではなく、陰キャで自己主張の弱い、しかし本当は優しい主人公市川の事を好きになっている

③市川が怒っているんじゃないか?と不安になると涙するほどやさしい人柄で、モデルの仕事をやりきる大人さと、人の機微に反応する幼さを持ち合わせている。

こんな感じでどうだろうか。今度はこの①~③について掘り下げていくよ。

【さらなる掘り下げ】

①山田はファンッションモデルの仕事をしており、クラスに友達もいる女子高生

これは言い換えると社会的地位の確立しているキャラといっても差支えは無い。理想の彼女シリーズは平凡な女学生であることが多いが、ここまで露骨なのは珍しい。これは言い換えると「モデルもやっているクラスの人気者の山田に好きになってもらえるなんて」というプラス要素がある。付き合うことが出来たら人に自慢できる理想の彼女だ。

②クラスの人気者の男子や高身長のイケメンキャラではなく、陰キャで自己主張の弱い、しかし本当は優しい主人公市川の事を好きになっている

これについては、「山田はクラスの人気者を好きになったり、顔がいいだけの男を好きにならない」「陰キャな市川の内面を読み取り、その優しさをみつけて好きになってくれる」という感覚があると思われる。これは山田が自分の内面を読み取って承認してくれる理想の彼女と言えるだろう。


③市川が怒っているんじゃないか?と不安になると涙するほどやさしい人柄で、モデルの仕事をやりきる大人さと、人の機微に反応する幼さを持ち合わせている

主人公の市川はクラスの同級生と距離を置いているため、雑に扱われることが多い。そんな中、すれ違いで発生した市川の怒りの感情に気付き不安になってくれた山田は、「自分の感情を尊重してくれる」「自分を他の人よりも重要な存在だと認識してくれている」と推測できる。自分を大切にしてくれる事は理想の彼女の条件だろう。

【もはや山田ファンに喧嘩を売っている掘り下げ】

①山田はファンッションモデルの仕事をしており、クラスに友達もいる女子高生

本作は理想の彼女を具現化した作品であり、モデルという属性は意図的に付けられている。まずここが私の好みに合わない。意図的にモデルという社会的地位をつけられたキャラクターを好きになるという事は、”理想の彼女に社会的地位を求めている”という事と同義だ。

要するに「自分に自信がないから凄いカノジョを連れ歩いて俺凄い」ってなろうとしているように感じてしまうのだ。自分の偉大さを誇示するために有名美人女優と結婚したがるIT社長と同じだ。自己顕示欲を捨てていれば”理想の彼女”に社会的地位は不要なはずだ。

「いやいや好きになったキャラが、たまたまモデルだっただけだよ」「山田がモデルをやっているかどうかは山田の魅力に関係ないよ」と考える方もいるだろう。まぁ言わんとすることは理解できる。しかし、本作の山田は視聴者ウケを狙う上でモデルと言う属性が必要と判断され、付与されている。つまり、逆に言えば「山田の魅力を語る上で、あなたが山田のどこを魅力に感じたかは関係ないよ」と置きカウンターを用意させていただく。

皆さんは”トロフィーワイフ”という言葉を知っているだろうか?理想の彼女に社会的地位を求めないスタンスでありたい私の趣向と合わなかったのだ。

②クラスの人気者の男子や高身長のイケメンキャラではなく、陰キャで自己主張の弱い、しかし本当は優しい主人公市川の事を好きになっている

山田は見た目が良かったり、部活で活躍するようなイケメンではなく。クラスの陰キャをどういう訳か承認して好きになっている。これは表面上の魅力ではなく、内面の魅力を読み取る特性があるという事であり、この点を魅力に感じるという事は「見た目は良く無くて、表立って人に誇れることは無いんだけど、自分の内面は良い奴だからそこを見つけて好きになってほしい」という欲求があると思われる。これは私からすると努力の否定である。みんなに好かれようと愛想を振りまいたり、何かに熱中している人物は山田の目にはとまらなかったのだ。

人と比べると少しだけ努力厨の私の趣向には合わないタイプのキャラクターだった。

③市川が怒っているんじゃないか?と不安になると涙するほどやさしい人柄で、モデルの仕事をやりきる大人さと、人の機微に反応する幼さを持ち合わせている

これは先に書いた通り「人から雑に扱われてきた自分を大事にしてほしい」という欲求の埋め合わせのような位置付けだ。自分の事を大切に思ってくれる事は凄くありがたいのだが、そこで涙してしまうのはちょっと訳が違う気がする。付き合う前後ならまだしも、相手の感情で自分の感情がコントロールされるという事は、相手に依存している事と同義である。市川が嬉しかったら山田は嬉しいし、市川が怒っていたら山田は不安になるのである。人に自分の感情をコントロールされる人間は自分で自分を良くすることが出来ないし、市川目線でも依存される事にうんざりする日がいつか来るだろう。

自分を大切に思ってくれる”理想の彼女”は大歓迎だが、感情を自分でコントロールできないほど依存されるのは好きではない。このあたりの私個人の趣向とマッチしなかったとおもわれる。

【まとめ】

この作品は市川と山田を好きになれなかったら終わりです。なんか市川が妙にシコっている描写を差し込んだり生理用品をネタにしたりと通常の作品に比べると性的な表現が多い。違和感が凄いから絶対女性作者だわ。とおもったら本当にそうでした。こないだの天使様と言い、なんで陰キャ向けラブコメを書く女性作者は男キャラを射精させたがるんだ?

記事のネタにしようと思ってつらつらと書いてきたわけだが、かいつまんで言うと「自分に自信のない陰キャ向けヒロインの押し売り」に感じたため、謎のプライドが邪魔をして拒否反応が出ただけなのだ。

私の駄文に付き合ってくれたあなたには感謝を伝えたい。

本記事は、山田杏奈が好きなSNモッピー(私とブログ運営してくれている恩人)の事を「自分に自信がない陰キャ」とdisっているわけでは決してありません。疲れまでした。


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