【2023夏アニメ】彼女、お借りします 第3期【最終話(36話)後感想・評価】

【総評そうか・・・その掌にあるものが、愛か。
点数:81

筆者が観測した本作の概要

本作『彼女、お借りします』はこの時代の恋愛深夜アニメの顔になっているといっても良い、週刊少年マガジン連載の作品だ。雨宮ファンボの私としても激アツの作品で、漫画・アニメともに人気を博している。

ヒロインたちが可愛いことに視点が行きがちだが、本作の作者はストーリーの中に”魅力的な人生観や恋愛観”を差し込むことが上手だ。2期の結末から今期にかけては、”水原の女優姿をおばあちゃんにみせたい”というおせっかいが中心となっている。本作で描かれていた、「水原のために何かしてあげたい」という思いは良いテーマだと心底感じた。

本作にも関わってくる、最近良いなと思った考え方について書きたい。「この世の全ては余計なお世話」という考え方だ。少しわかりやすく表現すると「相手の受け取り方がどうなるかはわからない。だから自分がやりたいと思った事をやろう」という考えだ。本作ではこのマインドが熱く描かれているように感じた。

アニメ1期では人気がなかったが、今となっては愛すべき世話のかかる世話焼きヒーローについて話していこう。

HighLight

本作の最大の山場というか見どころは、水原と祖母の別れのシーンになるだろう。水原が女優として活躍する姿を祖母に見せるために始めた映画作成も完了し、その上映直前で様態が悪化する。主人公持ち前の行動力のおかげで、なんとか祖母に映画を見てもらうことは出来たようだ。

祖母の目線で考えれば、去るだけの自分に全力を尽くす孫娘と、力を貸してくれる友人の姿に幸せを感じ、安心したことだろう。一人残してしまう水原を支えてくれる存在であれば、噓の恋人かどうかは重要ではなかったはずだ。

2期の感想の頃から「舞台装置と化した祖母達」と表現していたが、これほどまでに作品の中心にいたおばあちゃんキャラは珍しいだろう。祖母のセリフで、「人に愛が芽生えるのはその人のことを楽しそうに語った時」だと述べたのが印象的だった。日本最高の漫画家も同じことを述べていましたね。

なんだろう、一定以上の人間性に達してしまったクリエイターは皆同じ所にたどり着くのだろうか?

粋なシーンが最終話にあったのでもちろん触れておく。”理想の彼女”を演じようと一日気丈に振る舞う水原に対して、「俺の理想の彼女は少し泣くんだ」とアシストする主人公。このシーンくっそ良かったですよね?

凡人の我々では「”レンタル彼女”って立場は忘れて泣いていいんだよ」って思いましたよね?違うんですよ、逆です。レンタル彼女のまま、泣けるようにアシストするのが正解です。童貞主人公だったはずの和也に、我々が完敗した瞬間でしたね。

LowLight

すいません、作品としてのピーク。ここじゃないですか?

できる限りの最善を尽くして祖母を送り出した水原と主人公。信頼できる友人がいるものの、寂しさが残る水原。このタイミングで主人公と水原が結ばれてしまって良いと思ったのは私だけだろうか?

この作品の根幹を担う2つの要素「祖母に対して仮初めの恋人関係を演じる」、「祖母と同じ女優を目指す」。恋人ではないが、特別な関係になっている二人と、自主製作映画だが女優となった水原。個人的にはここですべて出揃ってしまった印象がある

原作のボリュームから見るとまだまだストックがあるらしいですね?この先これらを超える中身を用意できるかは疑問だが・・・二人が結ばれる結末なら、私はスタンディングオベーション間違いないだろう。

あと、ルカちゃんには早く「ごめんなさい」しなさい。

まとめ

「一生に一度も奇跡が起き無かったやつなんてこの世に居ない」このセリフ、誰のセリフかわかりますか?正解は、クラウドファンディングに挑戦する主人公の背中を押す友人の言葉です。

このセリフもまた良かったですね。

シンプルにこの作者のセンスが好き。この作品に関してはこれにつきます。絵が可愛い、キャラが可愛い、雨宮が最強とか色々あるんですけど、それらを超えるくらいこの作者のセンスが好き。

「おばあちゃんは女優になった私を見たいはず」とか、「水原は女優になった自分を祖母に見せたいはず」とか、“余計なお世話”とも取れるような、自分の中の世界観を行動原理にしているこの二人を見ているとなんだか応援したくなりまね。

冒頭にも書いたけどこの世の全ては”余計なお世話”と考えると人生が好転すると思っています。「エンジニアに転職する支援をしよう」「面白いアニメがあったから感想を書いてあげよう」「面白い漫画・アニメをつくってあげよう」「面白い動画をネットにアップしよう」「飲み会に誘ってあげよう」。この世の大体のものは誰かが誰かを幸せにしようとした”余計なお世話”から始まっているのかもしれません。

そう考えることができれば「相手にウザがられるかもしれない」と弱気な考えで行動量が減ることもなくなるでしょう。

主人公の和也は水原のためでもなく、水原のおばあちゃんのためでもなく、自分のために映画製作を始めたんだ、と私は思います。

何言っているかわからなくなった方はごめんなさい。何言っているか分かるようになった頃にもう一度このアニメを見ましょう。

あ、それでも私は「この作品、ここで終わるのが綺麗なんじゃない?」と言いますけどね。お疲れ様でした。

 

過去に書いた2期の感想も転がしておくね。

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