【2023春アニメ】おとなりに銀河【最終話(12話)後感想・評価】


【総評】聖人しかいない居ない世界で、人はゲロを吐く
点数:67

筆者が観測した本作の概要

人に頼る事が苦手で何でも自分で背負ってしまう主人公一郎が、漫画家業のピンチに雇ったアシスタントしおりのトゲに触れる事で、契約を結ぶこととなってしまう。物語序盤は契約のシステムに関する紹介や登場人物がどんな人間なのか紹介するようなエピソードが続く。視聴者を動揺させるような暗いイベントは無く、綺麗で優しい世界観を守るような人物が多い印象があった。

ヒロインのしおりさんは特殊な民族?のお姫様なので世間知らずでもありつつ、かなり純粋な女性となっている。ちょっと不思議ちゃんであり、本アニメの絵柄がローコストな雰囲気であることも重なり、このヒロインは私にはあまり刺さらなかった。

前半感想

前半では契約システムの紹介が行われる。契約者である主人公がしおりさんを傷つけたり逃げたりするとまぁまぁの体調不調(罰)が下る。五色しおりさんが美人だったから良かったものの、かなり危険な契約である。

作中では比較的序盤でしおりが一郎に気持ちを伝えているため、”好意を自覚した状態=微妙な距離感”を3話くらいから楽しむことが出来る。楽しむことが出来るとか書いているお前(筆者)は楽しめなかっただろうが

後半感想

特筆すべきは『お互いの恋心が契約が起因とする、偽物の気持ちではないのか?』という不安と向き合うシーンだろう。一郎としおりがお互いを思っているからこそ、この気持ちが真実の物だと信じたい姿が描かれる。この設定自体は結構良いものがあり、“契約”という超常現象で生まれた恋心は本物か、偽物かというテーマはこれだけで1クールアニメが成立するような内容に思う。

それだけにこの内容を11話の30分だけで消化してしまったのはもったい無い。穏やかで綺麗な世界観に加えられた、あくまで1つのスパイスとした位置付けだったのかもしれないが、本作の軸を担うことが出来るような重要シーンだっただけに、もっと時間を使って良かったと思うし、使ってほしかった。

ちなみにトゲを抜いた後でも、お互いを思う気持ちは変わらなかったというハッピーエンドを迎える。これも「どちらかの気持ちは本物で、もう一方は契約による偽物ものだった」。私個人としてはこの展開の方が面白くできたと思う。この辺りは個人の好みである上に作品のコンセプトに反するのかもしれない。ドラマティックで浮き沈みの激しいジェットコースターのような作品ではなく、優しく穏やかに回るコーヒーカップのような良さがある作品だったのだろう。

まとめ

「気持ちを素直に伝える事を大切にしたい。」これはトゲが抜けた後の主人公が、デートの帰り道で話した言葉であり、作者のミッションステートメントだったのかもしれない。作者がどんな優しい人物か伝わってくるのでこの辺の内容は良かったと思います。が、いかんせん味が薄い作品になってしまった。甘々と稲妻もアニメを見たが、あっちの方がまだ記憶に残る内容だったような、、、(記憶にない)

本作は綺麗な浮き沈みの無い作風のせいで3か月後には内容を忘れているだろう。この記事はある種、自分に向けた備忘録になるのかもしれない。

繰り返すけど『お互いの恋心が契約によるものではないのか?』この設定だけはめちゃくちゃ面白くできる題材だったと感じている。男側だけ気持ちが残るパターンはデレデレだったヒロインを再攻略できるという楽しそうな展開が作れるし、ヒロイン側だけ気持ちが残ったならヒロイン側の切ない感情をみて視聴者は強い気持ちで応援できるかもしれない。無限とは言わないが、かなり大きな”可能性”があったと感じている。

いやーこの設定は凄く妄想がはかどりますね。誰かこれを題材で作品作ってくれないかな。ちなみに『お互いの恋心が契約によるものではなく、お互い本物の気持ちだった』は一番やっちゃいけない(退屈なので)展開だと思います。私個人はね、私個人は。

実写ドラマ化もしているのでかなりキャッチーな設定として多くな人が認識しているのかしれませんね。お疲れ様でした。

 

 

 

【絶対に読む必要が無い余談】

先ほど、「この作品にはコーヒーカップのような良さがある」と言ったが、私はコーヒーカップ的なアトラクションに乗ると退屈な上に、吐き気を催す。穏やかな作品と称した本作中でも、登場人物同士の気持ちのすれ違いやイザコザはあるのだが、そのすべてがお互いを大切に思うが故の物事でしかなく、人が持ってしまう暗い感情を起因とするものは一切なかった。これが私の吐き気につながっている。

想像してみて欲しい。人間が出来過ぎていて、圧倒的に優しく、毒の無い人々に囲まれて一週間共同生活をする自分の姿を。外から見れば円滑で良好な素晴らしい人間関係なのに、貴方は普段の自分の感情と彼らの放つ言葉にギャップがありすぎて三半規管がやられていく。

幸せな生活を送った最終日の七日目。貴方はついにゲロを吐く。

周りの人々を驚き、優しく「大丈夫か?」と心配をしてくれている。

貴方はゲロを吐いている。

周りの人々は何が起きているか理解できない。

貴方はゲロを吐いている。

 

 

この記事こそが私の吐瀉物に他なりません。これなんの記事でしたっけ?善人ばかりに囲まれると、自分の内面とのギャップで三半規管がイクという話でした。

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