【2023春アニメ】【推しの子】【最終話(11話)後感想・評価】


【総評】作品のテーマ聞いて、感銘(KANMEI)を受けた話題作
点数:87

筆者が観測した本作の概要

満を持して登場した話題の作品【推しの子】。本作の作者赤坂アカは、私共が運営するこのサイトの全体ランキングの2位に輝いている『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』の作者でもある。絵の方は2017年バロンドール受賞作『クズの本懐』の横槍メンゴが担当している。何が言いたいかというと本サイトでも血統書付きのコンビの作品で、熱い期待を寄せていたという事だ。このハードルを越えてきたお化け作品が本作となっている。

半ば職務放棄となるが、面白い作品の感想は書くことが無い。物語の面白さの全貌を私が把握できているか自信がなく、自分よりも完全に上位の世界に住む人が作った際に「何を考えていたのか」を想像することが出来ないからだ。本作の人気のコアを私なりの言葉で表現すると、「”強くてニューゲームする流行りの転生作品”と”愛する人を殺した真犯人を追及するサスペンス”この2つの巧みな掛け算」となっている。道中のエピソードでも緻密な設定が積まれている、流石赤坂アカである、横槍メンゴさんの絵も最高だし、主題歌はもはや暴力。集英社の本気を感じる。

ちなみに本作のテーマは「作り手と受け手側のディスコミュニケーションを少しでも埋められる漫画」となっている。さすが業界の先頭を走るクリエイターは考える事が違う。本記事はこの観点で覗いていこうと思う。

前半感想

1話の最後については言及不要の名シーンということで聖域に安置しておく。私が触れたいの4話途中、有馬かな主演のドラマ「今日は甘口で」の打ち上げシーンだ。

このドラマは制作陣はやる気がない、演技も大してうまくない芸能人がほとんど、という散々な現場で有馬かなが孤軍奮闘していた。当然、作中の受け手のリアクションは最悪となっている。

この状況は、受け手が「ゴミ作品」と位置付けた作品達の中にも、”精神誠意全力を尽くした人”が存在し、それが気づかれることも無く埋もれていく、救われない人たちがいる事を示している。作中ではドラマだったが、アニメ・漫画・音楽・テレビ番組・すべてのコンテンツを指しているのだろう。

視点を少し変えれば、本作の視聴者も作り手に回る事があるはずだ。それは趣味でも仕事でも変わらず、同じことが起きている。散々なプロジェクトで働くことがあった私も、有馬かなとシチュエーションは同じだったのかもしれない。有馬かなと同じことが出来ていたとは思わないが

4話の話に戻るが、打ち上げ会場で原作者は「この作品は有馬さんの演技に支えられていた」と頭を下げるシーンがある。有馬かなはそれに涙をこらえる。「今日は甘口で」が用意した有馬かなのシチュエーションで描きたかったのはこのシーンだったのではないかと勝手に推測している。

この物語から受け手が感じ取るべき事は、「世間的に評価が低く、出来が悪いとされる物」の中にも孤軍奮闘する人たちが居る。そして彼ら彼女らが救われるためには、誰かがそれを見つけて評価(感謝)しなければならない

有馬かなのルックスだけではなく、内面も愛する諸君であれば、有馬かなと同じ頑張り方をする人を見つける事も評価する事も出来るはずだ。そして4話の原作者のように感謝の言葉を伝える事で、彼ら彼女は少しだけ救われる、、、かもしれない。

作り手と受け手のディスコミュニケーション。この場合『クソ作品の中で孤軍奮闘した努力家もボコボコに叩かれる』といった所だろうか。この記事を書くことでディスコミュニケーションを少し減らすことが出来るかどうかは、明日からの私や皆さんが日常の影に隠れる”有馬かな”的な人達を見つけることが出来るかにかかっていそうだ。

後半感想

後半は”恋愛リアリティショー編”として、黒川あかねの自殺未遂と主人公アクアの暗躍が描かれる。受け手のリアクションによってアニメキャラクターが自殺まで追い込まれるショッキングな内容となっており、内容を忘れてしまう視聴者はまずいないだろう。

ここでのディスコミュニケーションは直接的なメッセージとして受け手に届いているはずで、これを見て尚、芸能人や有名人に対して、度を越えたネット叩きをしている人は流石に少ないと信じたい。なのでここで言及する事は特に無いです。皆さんが見て感じた通り、メッセージ性も強くてめちゃくちゃ面白かったです。

しかしこの作者、こういう“真面目に取り組んでいるが故に発生する摩擦”みたいな内容考えるの上手っすね。人生経験が豊富と言うのか、見えてる世界が広くて深いというか、、、物事から読み取る情報量が普通の人の倍くらいありそうだ。

あ、7話ラストシーンは普通にバビりました。何回も見ました。一件落着と視聴者が落ち着いたところにあの演出、声優さんも制作陣も流石っす。

まとめ

過去リコリコの時に1クールアニメの限界到達点。と表現した記憶があるがこのアニメもほぼそれだ。唯一違いがあるとすれば、物語として完結していない事だけ。このクォリティで完結まで放送されたら、全体ランキングでも一位とかになっちゃうんじゃないですかね。それくらいクォリティが高い作品となっている。

いつも通り原作を追う事はせず、首を長くしてアニメの続きを待つこととする。この作品どうやって完結させるんでしょうね。これだけ面白い事考えられる人が、どういう終わらせ方をするか決めていないわけもないので、すごく楽しみです。

余談ですが、恋愛リアリティショー編でちょっと炎上と言うか揉めた件については、あれこそディスコミュニケーションだと思ってます。色んな意見があって当然で、「見る人が不快に感じたならその時点でNG」とか「いやなら見るな」とか様々だと思います。私個人はそれら全ての意見をどれが正しい・誰が悪いを”判断しません”。ディスコミュニケーションが少ない世界は遠く、それに貢献できているかは分かりませんが、本作の作者がすれ違いの少ない世界にしたいって気持ちだけは本物だと思います

アイの言葉を借りて締めるとそれっぽい記事になる気がしたのですが、いかがでしょう。面白いアニメに対しては糞真面目に記事を書く事しかレパートリーが無いYourcriteria。最高に面白かったアニメを、可能であれば「最高に面白かった」で終わらせないでください。明日からの自分の行動に繋げてみてください。

私は有馬かなと同じメンタルの人を探すと思います。あなたはアニメを見て、何か変わることが出来そうでしょうか?

この作者の趣味がねー、シンプルに好きです。お疲れ様でした。

タイトルとURLをコピーしました