【2021冬アニメ】ウマ娘プリティダービー Season2【BackPort】

まず初めに昨日公開した2021年アニメのPalyBackは見て頂けただろうか。まだであれば是非下記の記事に目を通してから本記事を読んでほしい。

何を隠そうこのアニメは本サイト運用者が規定している年間最優秀作品”バロンドール”受賞作品である。2021年冬に放送された百数十本の頂点に立ったこの作品の魅力を可能な限り伝えたい。オタク向けの美少女アニメと侮ってはいけない、史実に沿った王道of王道アニメだ。

主人公のトウカイテイオー、テイオーの挫折と復活の物語だ。

名前を聞いたことがある人も多いであろう名馬”トウカイテイオー”。この競走馬の人生を擬人化した物語として2021年に放送された。史実とは思えないほどドラマティックなシナリオと非常に高級な作画で支えられた名作となった。

この作品をすでに見ているあなたはこの作品の魅力を何と答えるだろうか。「作画」「個性豊かなキャラクター」、「シナリオ」どれも正解であるが、私が答えるのであれば「演出」と答えるだろう。

物語はトウカイテイオーの目の前でシンボリルドルフは無敗の3冠馬を達成することから始まる。史実では親子だが、本作では憧れの存在と期待の新星という位置付けとなっている。

幼少期に見た光景、”無敗の三冠馬”がトウカイテイオーの目標となり存在意義となる。

各話の演出について書こうと考えたが、それでは作品紹介の域を出ない。本記事では主要キャラクター4人をピックアップして、それぞれの魅力と思いを書くことで作品全体の魅力を伝えたいと思う。

1.ミホノブルボン

 まず本作で避けられないキャラクターはミホノブルボンだ、正確には後述するライスシャワーを語るうえで避けられないキャラクターがミホノブルボン(以下ブルボンという)だ。ここでは簡単に彼女のバックグラウンドをまとめておく。

 ブルボンは4話で登場し、クラシック出場を控えていた。作中では皐月賞・日本ダービーと勝利し、トウカイテイオーと並ぶ無敗の2冠馬にまでたどり着く。しかし6話の菊花賞でライスシャワーに敗れ無敗の3冠馬の夢にはたどり着けなかった。

我が最愛のウマ娘でもある。

  

  『確かにあなたは私から夢を奪いました、けれどそれ以上の夢と希望を与えたのです』

このセリフは7話で天皇賞(春)辞退を示唆するライスシャワーに伝えた言葉だ。私が伝えたいブルボンの魅力は「受け入れて、前を向く姿」にある。ブルボンにとってマスターとの目標である”無敗の3冠馬”は彼女にとってのすべてであり、その先にあるマスターの笑顔を願ってのことだった。それだけ大きな夢が破れてなお、新たな目標を持ち、ケガと立ち向かう姿は多くの視聴者に勇気をくれた。7話でライスシャワーに対して自分の思いを打ち明けた姿は、人の思いが人を変える魅力を美しく描いている。本記事の読者にも是非見て欲しい、見直して欲しいワンシーンだ。

全部いいシーンだけど、ここは特に良いシーン。

彼女の前向きな精神はライスシャワーの心を動かす。天皇賞に勝利してなお、涙を流すライスシャワーにかけた言葉を最後に改めて紹介する。

   『でもこれが歓喜と祝福の声になる日が必ず来ます』

『だってあなたの名前は、ライスシャワーなんですから』

”どんな苦労もいつか笑って話せる日が来る”そんな彼女の言葉に背中を押される名シーンを是非見て欲しい。

2.ライスシャワー

ミホノブルボンの話の中でも出てきたライスシャワーを取り上げずに先には進めない。ライスシャワーについて簡単に紹介しておく。

 皐月賞での走りを見て以降ミホノブルボンを目標として努力を重ね、菊花賞前にはミホノブルボンに意識されるまでに成長する。本番で彼女の「無敗の三冠ウマ娘」という目標を阻止する勝利を飾る。しかし、その勝利後のウイニングライブで自分の勝利を祝ってくれる観客がいなかったことがトラウマになり、その後のレース辞退を示唆する。

そんなライスシャワーから筆者が(勝手に)受け取ったメッセージについて書かせていただく。

ド派手なバラだが、地味で引っ込み思案。そして自分に自信が持てないキャラクターだ。

 

   『ヒールじゃない、ヒーローだ』

人は誰もが特別な存在になりたいのではないだろうか。特別賢い人、特別話が面白い人、特別運動ができる人。だがそれも年を取るにつれ自分が凡庸であることを突き付けられる。「自分は特別な」存在じゃない。


そう思って足をとめてしまった人は、ライスシャワーの決意とその後の走りを見届けてほしい。ライスシャワーは菊花賞を勝利することで「ミホノブルボンの勝利を見たい」という多くの観客の期待を裏切り、ヒールとしてのレッテルを張られてしまう。”誰も自分の勝利を望んでいない、誰も自分を応援する人はいない”そう思い込んでしまったのだ。


しかし、7話でブルボンの新しい目標、新しい夢を聞き、ヒールじゃない自分と向き合い始める。
その後出走することとなる、天皇賞(春)での3連覇を目指すマックイーンとの闘いは本作1,2番目を争う見どころだ。

2021年瞬間最高風速を記録したシーン。普通にレジェンド。

作中の彼女の「ヒール」としての自分から「ヒーロー」としての自分にたどり着く道筋は、我々にヒントをくれているように感じた。「凡庸」な自分から「特別」な自分にたどり着くその道筋は、誰かにとっての「特別」なることから始まるのかもしれない。


少なくとも彼女にとっては”ミホノブルボンにとってのヒーロー”になることが始まりだった。
この作品をみた我々が”誰かにとっての特別”になれるように一歩踏み出す。それが彼女たちが望んでいることではないだろうか。

引用:「HERO」「月曜日」

3.メジロマックイーン

 本作の主人公はトウカイテイオーだがライバル・親友として登場するメジロマックイーンも主人公の一人と言って問題ないだろう。メジロマックイーンについても紹介しておこう。

 天皇賞(春)ではテイオーと試合前からお互いに強く対抗意識を持ち、これに勝利する。翌年の天皇賞(春)ではライスシャワーに敗れるも、自身の3連覇を期待した観客から落胆の声が上がる中、真っ先にライスシャワーに拍手を送り祝福した。しかしケガから復帰したテイオーとの再対決を目前に繋靭帯炎を発症。二度と走れなくなることに絶望して自暴自棄になる。

テイオーとのW主人公となっている二人だ。

 メジロ家の令嬢として振る舞いを重んじるメジロマックイーン(以下マックイーンという)は作中で一環とした態度で立ち振る舞い、ライバルであるテイオーを破った際も、ライスシャワーに敗れた天皇賞(春)でも毅然とした態度で勝者を讃えていた。

負けてなお、爽やかなメジロマックイーンやはり8話はレジェンドだ。

 

   『ずっと先で待っていますわ……あなたが来るのを』

 マックイーンの最大の魅力は「誇り高さ」とでも表現しておこう。再三の故障で心を折れそうなテイオーに対して9話で放った上記の言葉は胸を打たれるものがある。大変な思いをしている相手、うまくいかないと悩んでいる相手には手を差し伸べたくなる。何かできることは無いかと、変わってあげられることは無いかと。

マックイーンは信じて待つだけだった、自分のすべきことをして、その姿勢で相手に勇気を与えたのだ。本作のW主人公の関係は最大の魅力といっても過言ではない。一人じゃなく、誰かとだから頑張れる。自分のためじゃなく、誰かのためだから頑張れる。そんな原則に重きを置いた作品を是非見て欲しい。

引用:「Tommorow never knows」

4.トウカイテイオー

 

  『そこまで言われちゃ、しょうがないな……みんな見てて。僕、もう一度がんばってみるから!』

 10話のトウカイテイオー引退ライブでの一幕、涙なしでは見れない名シーンだ。「無敗の3冠馬」、「3冠馬」、「有馬記念優勝」と敗北や故障の影響で何度も部屋に掲げた目標を修正したトウカイテイオー。決して下方修正ではなく、彼女にできうる最大の目標設定だったと思う。

 不屈の精神を持つように見えるテイオーだが作中では彼女は何度も挫折を経験し、走る気力を失っている。それでも立ち上がるきっかけをくれたのは仲間であり、ライバルであり、ファンだった。

トウカイテイオーを支えた一人であるツインターボ、オールカマーでの活躍は必見だ。

 数千字近く書いたうえで言うが、ラストシーンについて言葉で言及するのは野暮というものだ。きっと作品を見始めたあなたは熱中してこの記事のことなど忘れてしまっている。私もそれを望んでいる。

 人に救われ、立ち上がった彼女が今度は有馬記念で他の誰かを救うために走る。美しい物語の結末を見届けて欲しい。

アニメ視聴後にこちらもどうぞ、私は競馬詳しくないが熱くなれる数分間だ。

 

 

 拙い文章だったがここまで読んで頂いたことに感謝を伝えたい。この記事を書いたのは”この作品を見て欲しい”、”この作品をもう一度見て欲しい”に尽きる。私も記事を書く上でほぼ1話から見直したが最高と言わざるを得ない。

 

こんなアニメが次に現れるのは何時になるだろうか。これからのアニメが楽しみだ。

 

2020年についても書く予定なので是非読んで頂きたい。ただ時間かかるんだ面白いアニメの記事書くの。

 

 

 

おわり。

 

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