【2022秋アニメ】うちの師匠はしっぽがない【最終話感想・評価】

公式サイト:TVアニメ「うちの師匠はしっぽがない」公式サイト (shippona-anime.com)

【最終話感想・評価】点数:68

はじめに

イタズラ好きのたぬきの主人公が街で落語に出会ったことで落語になる事を目指す本作「うちの師匠はしっぽがない」。落語に重きを置いた作品と言うよりは努力型の主人公まめだが落語家として駆け出す、彼女の青春を描いたような物語だった。当初私が勝手に想定した内容とは異なったものの、スポ根作品のような感覚で見ると中々いい作品だったと言葉にしておきたい。

そりゃめちゃくちゃ面白い作品!と言う感じでは無いが、可愛らしくも泥臭いサクセスストーリーはアニメの世界に浸りたい人に刺さる仕上がりだったように思う。全ての作品が”人生で1番の作品!”と言われるように気合を入れる必要はないと思うし、気楽に・気軽に楽しめるアニメを真剣に目指した本作は狙った位置に落ち着いたのではないだろうか。こういう気楽に見れる作品も必要だ。

一話感想はこちら:

最終話概要

最終話はおまけみたいな話だったので、本作の本体だってであろう後半の物語を中心に振り返ろうと思う。

この作品の落語界には四天王と呼ばれる落語家がいる。そのうちの一人は文狐師匠の大黒亭、白團治、霧の圓紫、歌緑の四人で構成される。物語の後半は「先代の大黒亭は現大黒亭に弟子を取るなと言っていた」と言われるところから始まる。文狐師匠が主人公まめだを弟子に取っている事に納得がいかない様子だ。

四天王の話し合いでは以下の様に話が決められる。
・まめだが四天王を納得させれれば弟子継続
・まめだが四天王を納得させられなかったら、文狐師匠は大黒亭を二度と名乗らない

白團治の目的は他二人の四天王を納得させるため、そして文狐師匠自身が旨を張って弟子を取れるようにしようというものだった。

まめだは白團治から急に合格を貰える。話を聞くとまめだを破門指せるように言い出したのは自分だと言ってのける。「大黒亭は弟子を取ってはいけない」この決まり事を覆すために圓紫、歌緑を納得させるためのまめだの戦いが始まる。

最終話は落語家を逆恨みする悪役に金を盗んだという架空の罪をまめだが押し付けられる内容だ。危機一髪のところで大黒亭の落語で騒ぎをうやむやにする。

最終盤は文狐師匠が自分の師匠の言葉と折り合いをつけるシーンが描かれる。夜桜の中を小舟で進む綺麗なシーンだ。

最後はまめだが歌緑から合格を貰うための最後の試験に向かうシーンで終わる。

HighLight

1話次点では正直ギャグアニメなのか落語アニメなのか分からなかったので微妙な所感だったが、シンプルなスポ根作品だった。(今となってみれば「見りゃ分かるだろう」という感じだが)

まず絵が綺麗だ。コスト低めのキャラクターデザインではあるものの、作画が崩れることは全く無かった。サブキャラクターがいくつか登場するが、物語の構成上無駄になるものはなく丁寧な1クールの運びを見ることが出来る。この作品が毎話最後に入れている「番外編」からもその様子が伺える。とにかく丁寧な仕上がりになっている作品だ。

毎回最後にしっぽのしっぽが送られる。みんな見ていたのだろうか。

物語後半の”弟子を取るな問題”はこの作品で恐らく一番描きたかった内容であると推測できる。それだけに四天王の関係や、文狐師匠の過去の話はある程度仕上がっており、本作がまめだを中心とした群像劇であるということが明確に描かれていた。ここは普通に良かったと思います。

みんな大好き圓紫師匠。

作中の一部を取り上げるなら白團治が文狐師匠に対して「彼女は変わって良いと誰かが言ってあげないといけない、それができるのはまめだちゃんだと思う」というセリフは良かった。人が人を変えることは難しく、文狐師匠のような頑固な人であればなおさらだ。文狐師匠が周りの人にどう思われ、どれだけ思って貰えているかを表す、優しいシーンだった。

LowLight

特別キャラが可愛いわけでも無く、特別話が面白いわけでもなく、特別作画が綺麗なわけでは無い。すべて合格点を取ってくるような成績を残した本作だが、つかみどころが無い。それゆえに1話のインパクトも控えめなので「面白そうだから見てみよう!」となる視聴者が少なそうだった。例えるなら「悪い所は無いんだけど光るものが無いんだよなぁ」と最終面接で落とされがちな優等生タイプだ。

まとめ

師匠は化け狐で弟子は化け狸だったわけだが、この1クールの内容ではその設定が活かされたシーンはあったものの、必須かと言われると微妙だ。最終話でまめだが「人間かたぬきかなんて関係ない」っていっちゃってるし。漫画を連載する上で日常パートを面白くするためのスパイスと言った位置付けなのだろうか。本作のタイトル回収が1クール内で行われなかったのは残念だ。これでは人間でやっても問題ない内容だったように思う。

後半の4話分くらいは良かったんだけど、そこまでは掴みどころが無い時間が長かった作品だ。数年後に覚えているかなぁ。

和洋混じった良い時代の映像でしたね、お疲れさまでした。
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