【2022夏アニメ】リコリス・リコイル【最終話感想・評価】

公式サイト:リコリス・リコイル

【最終話感想・評価】点数:90

今クールの目玉にして先頭を走ってきた「リコリス・リコイル」。過去最高ともいえる2022夏というクールの頂点に相応しい結末を見せてくれた。ハッキリ言ってここまで完成度が高いと、私の感想など蛇足でしかない。過去の名作を思い返しても、放送中は熱く議論されていても結末を迎えてからはそれぞれの結論に収まっていくものだ。なので需要無さそうなんだけど書いてしまうことにする。

一気に宮古島行きたくなってきたな。

この記事では本サイトとして89.5点という数字が出ていることから、作品未視聴で本記事にたどり着く人がいるかもしれない。そこを踏まえて、物語の紹介と私が文字にしたいと思った箇所を上げていく。結末まで書いちゃうのでネタバレ気にする方は視聴後に戻ってきてほしい。

言葉にすればするほど違っていくので大変もどかしいが、”あえて”この作品を一言で表現するなら「1クールアニメの最高到達地点」だ。アニメのパラメータは何個あってそれが何か?これを一生きめられない我々だが、一つ言えるのはこの作品では全てのパラメータがカンストしている。余白があるとすればもはや個人の好みの中にしかない。

先に展開に触れておこう。物語前半は行動を共にすることになる”たきな”にフォーカスをした展開が非常に多い。千束と過ごすことによってどんどん人間らしくなっていく姿が描かれている。前半については下記記事に書いているので目を通して欲しい。

後半を忙しい人のためにまとめていこうと思う。
まず概要を話す上で抑えておいて欲しいのは、千束は最強のリコリスであり、アラン機関が作成した人工心臓で生きているということだ。健康診断の医者にまぎれたアラン機関の工作員が千束を眠らせ、千束に与えた人工心臓に細工をする。

余命二か月になってしまう千束。私は女性にAED使うの無理だ、見ちゃうわ多分。

細工をしたのは千束に心臓を与えたヨシさんこと吉松が指示した者だった。吉松は”殺しの才能”を持っている千束が不殺の姿勢で生きる姿に納得ができず。千束に殺しを経験させるために行った下準備だった。殺しをすれば吉松が助けてくれることを店長が千束に告げることで、吉松の真の姿と自分が何者かを千束は把握することができる。

真実を涙ながらに話してくれる店長。

吉松を餌にする真島の誘いに乗り、単独で旧電波塔に乗り込む千束。

完全にスカイツリーである旧電波塔。

その頂上で真島と何回目かの戦闘になる。眼に特化した千束に対して耳に神のギフトを授かっている真島は暗闇で戦いを仕掛ける。苦戦する千束の元にたきなが駆けつけ辛勝する。

完全にBLACKCATと同じ登場。塔で拳銃ときたらこれしかない。

吉松がもう一つの心臓を持っていることを突き詰めているたきなは吉松に詰め寄るが、吉松は自分の心臓を捨てその人工心臓に付け替えていた。

心臓を奪わせることで千束に殺しをさせようとする吉松の狙いだったが、千束はそれを拒否し、殺してでも人工心臓を手に入れようとするたきなからギリギリ逃げ去る。

その後くるみの迎えもあって新電波塔に乗り移り、フキをはじめ他のリコリスと合流するが、再再度真島が現れ千束とこれまた何回目かの戦いになる。戦いの中で千束の心臓の限界を感じた真島は、一時休戦を提案して二人は休憩をとる。今に始まった事ではないがこの二人は極めて奇妙な仲になっている。これまたたきなが登場し、真島はビルから落下し、千束はたきなに助けられる事によって戦いは終結する。ビルから落ちなかった方が勝ちだったので、一応千束の勝ち。

戦いの裏では店長が吉松の元にたどり着いており、店長が吉松にとどめを刺すことで人工心臓を手に入れる。千束に殺しをさせたかった吉松はその目的を達せず、店長は過去の恋人?をその手で殺めることとなっている一方で、たきな・千束は生存し、真島は命がけで千束と戦いたいというもう一つの目的は達成したようだった。

長くなったが概要はこんな感じだ。細かいディティールを読み違えていたら恐縮だ。本編のガチガチな考察が得意な方に話を聞いて見て欲しい。触れたい所が色々あるのでこの記事ではたきな、真島、千束についてそれぞれ書いて最後に一言書いて終わりにしようと思う。

まず、たきなから。物語終盤ではリコリスとしての冷酷さも持ち合わせながら、千束のためを思い任務ではなく自分の思いで行動するキャラに生まれ変わっていた。フキにDAとしての任務よりも自分の行動を優先したいと申告するシーンは、同じ命令無視でも1話の頃と全く違うという対比になっていた。もしたきなと千束の過ごした日常が無ければ物語はどう着地していただろうか。人が人を変えた事によって結末が全く違うのは現実でも同じだよなぁ、なんて思いながら見ていた。

自分の行動を優先したいと言い出すたきな、前回とは形が全く異なる。

特に12話の吉松周辺でのやり取りは強烈で作画・声優・シナリオ全てが輝いていた。普通に名シーンだが心臓が逃げる!はこれからApexでも使っていきたい一言。考えや行動が常にアップグレートしていくたきなは見ていて楽しかった。千束だけじゃここまで面白くならなかったもんなぁ。最後まで見たけどやっぱり3話が好き。

2021PlayBackでも取り上げたけどこの声優半端ねぇよ。お前らが優勝だよ。

次に真島だ。何かとバランスを取ろうとするキャラクターは強キャラになりがちな印象だ。DAが隠蔽する事実を表に出したい一方で、かつて自分をボコボコにした相手と命を書けた戦いがしたいという願い、合わせて2つの望みがあったようだった。

千束と真島のやりとりは何時も独特で本作にしかない個性と言って差し支えない。何やっても死ななかったり、町中に拳銃をバラまいてよくない感じにしようとしたり、その気に成れば荒探しできる内容になってしまった原因ではあるのだが、間違いなく本作の魅力を支えた登場人物の一人だ。

ちなみに最後のタイマーは千束を命がけで戦わせるために用意したフェイク。ふざけやがってと言う千束に一泡吹かせたことにも満足していそうな気がする。

最後に主人公の千束。
旧電波塔の際の殺人マシーンのような千束からこんな人格者になるまでどんな日常があったのか気になる所だ。吉松に命を救われて今度は自分が誰かを救ってその中に残りたいというシンプルな行動原理は彼女を強力に動かしているようだった。このメッセージは私の中の哲学書の1ページ目に書いている。きっかけをくれたのは別の作品だが、同じ思いを共有できた気がして嬉しかった。制作陣の思いを節々で代弁してくれる名キャラクターだった。

『世界を好みの形に変えてる間におじいさんになっちゃうぞ』

常に余裕のある笑顔で過ごす千束が大きく動揺したのは吉松に銃を向けた1回だけ。

普段は表情豊かでサービスシーンの豊富なキャラクターだ。

何か1つ強烈なメッセージがある作品というよりも、大事なことを物語に散りばめてくれていたような作品だった。きっと見る人によって受け取ったメッセージが異なることだろう。これだけクォリティの高い作品をリアルタイムで毎週見れたことは幸福に他ならない。是非作品を視聴したあかつきには、何が自分にとって刺さったのかを見極めて欲しい。良い悪いの二元論じゃないと千束と真島が新電波塔で話していたように、この作品も「面白い」「面白くない」で終わらせるべきでは無いように思う。

千束は助からないほうが良かったなんていうやつが居たら、OPのたきなばりの蹴りをかましてやろう。

お疲れさまでした。
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