【2023冬アニメ】大雪海のカイナ【最終話(11話)感想・評価】

公式サイト:『大雪海のカイナ』Official Site (ooyukiumi.net)

【最終話感想・評価】 点数66

総評:圧倒的、期待値調整ミス。

はじめに

「お前本当にこういう女の子好きだな!」という声が聞こえてくるようだ。高橋李依演じるアトランドの姫様のリリハ様が気高く・優しく・お転婆で良かったです。それは一旦置いといて、本作の完結は10月公開の映画でという衝撃のラストを迎えた。それは、、、怒られるって多分。

天膜の上のおじいちゃんからもコメント頂いております。

一応弁明しておくと、地上波では「アトランドVSバルギアという国同士の抗争」は一時停戦状態までもちこめたので、物語の第1段階としては終結している。しかし、最終話である11話の”最終話感”が薄いために、視聴者諸君は消化不良な感じになってしまった事だろう。

本作の悪役を一身に担ったバルギアの司令であるハンダーギル。「ていとく」とよばれるので作中で名前を聞いた覚えがない。

「閉じたコミュニティで高い評価になるだろう」と若干失礼な一話感想を書いたが、概ね予想通りになった気がする。Amazonでの評価もなかなか良好だったのだが、この映画完結の話が評価にどう響いていくかは分からない。

見た人はみんな同じことを感じたであろう1話感想はこちら。

完結の仕方には不満が残るが、私自身はこの作品を楽しめた側だ。大枠はアトランドのお姫様と天膜の住人カイナのボーイミーツガールであり、お姫様の窮地に毎度カイナが救助に来てくれる。こういうFF9的な構図は小学生のころから好きで30超えても好きなのは変わらない。ハンバーグは何歳になっても旨いのだ。

最終話(11話)概要

手短に最終話をおさらいしておく。

バルギアの”建設者”という兵器が暴れる頃、リリハは出来る事をするために走り回っていた。道中では大切な大軌道樹への地図を人命救助の傍らに失ってしまう。

バルギアの司令ハンダーギルはアトランドの国王を矛先に捉え、娘リリハの目の前でぶっ殺そうとする。しかし、それをリリハの放った大砲によって阻止される。ブチ切れた司令は矛先をリリハに向ける。

ギリギリのところで駆けつけるカイナ。巨大兵器を相手に、生身の人間が出来る事は無くないか?と思った矢先、”樹皮削り”という天膜の村から借りてきたオーパーツを、最大出力にして建設者に向ける。

この”樹皮削り”は名ばかりで、実態は[ポータブル荷電粒子砲]だったようだ。シールドビットを張ったガンダムも裸足で逃げ出しそうな威力の武器により、撃退に成功する。

手のひらサイズにしては過去最高峰の威力なのでは?

ちなみにハンダーギルは建設者を遠隔操作をしていたので、このタイミングでは死んでいないのだが、アトランドの新鋭隊長オリノガに銃殺される。

作中唯一と言っても良い純粋悪はここで退場する。

「あんなものをこっちに向けられたらどうしようもないぞ」と冷静な判断をするバルギアの国民たち。バルギアの兵士が豆腐メンタルすぎる違和感があったが、アメロテの判断もあって降伏する。戦争はバルギアの撤退という形で終結する。攻め込んできて降参して撤退とはいかに。

リリハが持っていた地図は燃えてしまったので、この後の展開で困るのか?と思ったがカイナのファインプレーでなんとかなったようだ。下に映っているのは王室にあった方の地図だろうか?あまり細かい説明が無く、この辺りはかなり駆け足だ。

ここからは尺が足りなかったのかとんでもないスピードで放送される。カイナの軌道樹の下にたどり着き、天膜のおじいさんおばあさんと再会して、最終話が終了だ。

大事なシーン?が一瞬で終わってしまった。
バルギア兵も観光に来てて草。

HighLight

良かった点は大きく2つ。
1つ目は『アトランド/バルギアの両側面からこの世界の厳しさを描いた事』。バルギア潜入時には敵国の状況を垣間見ることもできた。バルギアも水不足で困っている、バルギアに呑み込まれた小国の人々もいる、バルギア要塞も張りボテでギリギリの生活。これらの側面を映したことにより、”大軌道樹を見つける”という目標の重要性がより強く描かれてた。『敵は敵』と安易に切り捨てない物語は大人な作風に感じ、私はそこが好きだった。

バルギアの人々も相当苦労をしている様子。視点が多い作品のほうが個人的には好み。

二つ目は物語の焦点の絞り方が良い。
相当練りこまれたオリジナリティのある世界観でありながら、問題・解決策・テーマ・国関係・人関係が非情に分かりやすい。近所のオリジナルアニメ(アルス)と大違いだ
「水不足で争う2つの国に、天膜から来たカイナが大軌道樹という戦争以外の回答を提示する」このシンプルな物語が1クールに丁度いい、最高に丁度良い。

ちょうどいいはずだったんだが、、、LowLightに続く。

あとは地味にキャラ同士の細かいやり取りも面白い。老人ホーム育ちのカイナが常軌を逸して女性慣れしておらず、彼とお姫様の掛け合いがシンプルに面白い。軌道樹を降りている最中の「虹」発言とか、なかなか出てこないセンス。普通に失礼なことを言うよりも千倍失礼なことを天然で言っちゃうカイナが良かった。

このシーンのカイナはバカすぎて好き。
低め声で「え゛?」ってリアクションするリリハ様も好き。

LowLight

1つ目は「思ったのと違う」となったであろう人がいるという話。

手書きじゃないと知らずに視聴し、CGに慣れなかった・カイナとリリハ様に愛着が湧かなかった人に本作は刺さらなかっただろう。その他にも、天膜の独特の雰囲気が最高だったのに、結局の所、人間同士で戦争をする話だったわけだ。「思ったのと違う」となった人は、、、居なくは無いだろう。私も天膜の世界観は中々好きだったので、1話、2話以降出てこなくなったのはちょっと残念だ。

2つ目は視聴者の期待値の話だ。

物語は水不足の問題を両国の目線で描いており、これの解決が本作品の主題である事は言うまでもない。それを棚に上げて「アトランドVSバルギアの停戦」を地上波のゴールにしてしまったら、視聴者の期待する完結にならないのは当然である。これが圧倒的期待値調整不足

あえて言うなら、1話2話で「本作は映画作品(大軌道樹編)が同時進行中」とあらかじめ映画完結を匂わせておくとか、物語のフォーカスを「大軌道樹、水不足」ではなく「アトランドとバルギアの終戦」に据えておくべきだったと思う。「大軌道樹?あぁ、戦争が綺麗に終わったから忘れてたわ」くらいになっていれば100点の期待値調整だっただろう。

そりゃあ収益のために視聴者を映画館に引っ張りたいのは分かるが、現状の視聴者のリアクションは「うおおおお映画にいくぞおお」ではなく、「金取んのかよ!」なのは言うまでもない。

まとめ

締め方はちょっと事件が起きてしまったため点数は低めだが、作品としては悪くはなかったはずだ。都合の良いシーンは多かったが、そこはエンタメなので気にしない事とする。それに主人公・ヒロインが個人的には好きだった。それだけに、、、うーん地上波で終わってほしかった。

東亜興業のCGに関しては今回で完全に慣れた、もはや文句をいう必要は全く感じない。不思議な造形の建造物や生き物を表現するには、3DCGの不気味さがいい具合にマッチしており、不安定な作画を招かない一助にもなっており普通にプラスの要素しかなかった。

今回はヒロインが普通の人間(しかもかなり正統派)だったこともあり、CGでもかなり可愛く見ることが出来る。声優まとめでも書いたけどやっぱり高橋李依はつえーわ、今後もずっと人気出るだろうね。

あわよくば2クールでやってくれてもよかったのに。制作陣も「2クールでやりたかったわ」と言っているか、お疲れさまでした。
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