公式サイト:TVアニメ「陰の実力者になりたくて!」公式サイト (shadow-garden.jp)
【19話+最終話感想・評価】 点数:71
はじめに
2クールに跨る放送の中で人気作?の地位を確立した本作『陰の実力者になりたくて』。厨二病を下に見た感じでdisっている作品の印象が強かったが、後半の印象はかなり変わってきた。簡潔に感想を申し上げると「悔しいけど、良い作品でした」。
第一印象が「厨二病をdisる事を目的とした嫌味な作品」かと思っていたが、この作品の作者・スタッフは誰よりも厨二病大好きだったようだ。言わば”厨二病のアンチ風ファンの作品”であり、「こういうシチュエーションやりてぇな」を数珠繋ぎにしている作風だ。作風の根底には「厨二病は最高だぜ!」という意思を感じる。(あくまで私個人の主観の話)
本作はネタ枠として見ても良し!真面目に厨二病作品として見ても良し!女の子も可愛いので良し!この作品が好きだと公言するのは無し!そんな不思議な作品だった。詳しく見ていこう。
あんな1話だったのでこんな内容になってしまった1話感想はこちら:
19話+最終話感想
最終話手前は武神祭で主人公扮するジミナ・セーネンが下馬評を覆し勝ち進んでいた。ついにアイリス・ミドガルとの闘いが始まるが、戦況は一方的?な物だった。
観客から「アイリス様は何してんだ?」という声が大きくなった頃、決死の覚悟で歩みだすアイリス・ミドガル。しかし、一瞬でジミナ・セーネンに取り押さえられる。視線のフェイクがどうこうで”実は剣すら抜いていなかった”というくだりがあるが、真剣に向き合うだけ時間の無駄である。
舞台裏ではローズ先輩がドエムの計画を阻止するために姿を現す。傀儡と化していた父親である国王を殺害し、自決する事を試みる。傀儡であるはずである父親の本心を聞く事が出来たり、澄み切った表情で自身の首をはねようとするローズが見れたり普通に名シーンだ。
そこに主人公であるシャドウが阻止に現れる。wikiを除くと”ローズに見せ場を奪われると考えてシャドウの正体を明かし、ローズを脱出させた。”と書いてある。原作勢のコメントだと思われるが、めちゃくちゃ邪な気持ちで止めに来てのが笑いどころだ。
スタ、、、シャドウが姿を現した所で武神ベアトリクスとの交戦が始まり19話が終了。最終話に続いていく。
ベアトリクス+アイリスVSシャドウの戦いが繰り広げられる。最終話らしい迫力のある映像だ。この辺はHighLightでも触れるとするわよ。
表の戦いの裏では逃走しているローズにアルファが声をかけているシーンが描かれる。国を救いたいローズに「価値を示せ」と話すアルファはローズをシャドウガーデンに迎え入れるようだ。
アイリスの捨て身の時間稼ぎもシャドウには読まれており、ベアトリクスの渾身の一撃もかわされてしまう。その上で迫力のある腹パンならぬ腹踏みつけが行われる。
シャドウに圧倒されたアイリスが「お前は包囲されている」と吐き捨てた所でシャドウが突然高笑いをして、みんな大好きな”アレ”が始まる。
その後いつも通りの日常が描かれるが、全くいつも通りじゃない人物を触れておく。彼らの隠れ家に到着したローズ先輩だ。
ローズ先輩が唯一心を開いていたカゲノーとの思い出の品を強制的に捨てさせられ、シャドウガーデンの一員”666″としての人生が始まる。なんでも1話で666としてシャドウガーデンに加わっているのが描かれていたとかなんとか。
お決まりのピアノのシーンで最終話が終了する。
HighLight
よく考えてみると、そもそもこの作品のクオリティは高い。悪ふざけの領域かと思えば準2クール分の長尺の放送枠を獲得し、終盤は失速するどころか迫力を増す戦闘作画が繰り広げられている。一流のB級アニメといって差し支えないだろう。
いつからこの作品を好意的に見る事が出来ていたのか?今となっては分からないが、15話以降の武神祭は結構楽しめていたと思う。ジミナ・セーネンの声が良すぎたり、ドエムの陰謀から謎の月光が演奏されるシーン等忙しい内容だった。見ていて退屈しないのは良い事だと思う。
ここで取り上げずにはいられないのは、ベータやアレクシアが可愛い事。二面性の無い”天真爛漫・純粋無垢”なヒロインがあふれる現代で、コロコロ表情が変わる本作の少女達は普通以上に魅力的に見えた。big boobsだし。本作のソシャゲであるカゲマスのイベントでは、ベータとイプシロンのマウスパッドが当たるキャンペーンがあったらしい。うーん、うらやましい。当選者の皆さんおめでとうございます。
LowLight
短所は1話、2話の印象が悪すぎる事。あれをみて「この作品おもしれぇ!」となる人もい居るとは思うが、「普通に気持ち悪い作品だ」と感じる人も一定数いる事だろう、現に私もその一人だった。仮にこの作品を人からオススメされて視聴した場合は「正気か?これを人に勧めるか?」と3話切りされそうな危険性がある。
序盤はちょっとネタ枠としての印象が強すぎて「しょうもない笑い」を続けるんだろうなと、半ば呆れながら視聴していたのを覚えている。しかし、話が進むとキャラクター達の掘り下げが進み、彼ら彼女らを少し好きになってからは普通に楽しめる作品になっていった。要するに本作は時間がかかるタイプだ。
登場する美少女達も最終的には様々なストーリーを抱えるわけだが第一印象が悪いため、一見さんには”ただのハーレム要員”として処理される可能性が高い。クセになる作品なのは認めるが、クセにならない人にとってはどうしようもない作品だという事は認識しておきたい。安易に人に勧めてはダメなタイプの作品だ。
まとめ
昨今にしては珍しい”アニメから入った新規勢”にも愛される原作ライトノベル作品だったように感じる。ファンはファンのままで、ファンじゃない人はファンじゃないまま。この構図が年々固まっている印象があるアニメ業界だが、本作はそこを崩すのにちょっとは貢献したんじゃないだろうか。
本作「陰実」はアニメーションのクオリティも高かった上に、キャラが可愛い、そしてこの作風の第一人者だったためセーフと言う風潮が私の中では存在しているが、これを真似した陰実の出来損ない作品が出てきたらエライ事になりそうだ。それだけは勘弁して欲しい。
「めちゃくちゃ評価割れそうだな」というのが本作の最終的な印象。”アンチ厨二病”として見せかけて”真性厨二病患者”。視聴者が大人になってしまった現代で、「厨二病ワロタ」と常識人の皮をかぶっている厨二病患者をターゲットした本作品は、試合巧者といって差し支えない。巧みを超えて匠である。
人の心理を突いたような好感度の獲得をしている本作品、つい先日2期も発表されたので楽しみに待つ事としたい。