【2022春アニメ】であいもん【BackPort】

公式サイト:TVアニメ「であいもん」公式サイト (deaimon.jp)

【感想・評価】 点数:72

はじめに

ヤングエースで連載する京都の和菓子屋「緑松」を舞台とする漫画。主人公はこの緑松の息子でありバンドマンとして東京で過ごしていたが、紆余曲折を経て京都の実家の駄菓子屋に帰ってきた。そこには雪平一果(10)が看板娘として働いていた。

看板娘として働く10歳の少女。10歳の子と15年以上話した記憶が無いからどのくらい子供で大人か想像がつかない。

主人公はこの一果の親代わり、家族として過ごすこととなる。このジャンルを何系と呼ぶのかわからないが「親代わり系」と称する事とする。作中では一果の母親も出てくるが、親代わり系特有のゴリゴリのシリアスやお涙頂戴的な展開も薄く、明るい雰囲気で見れる作品に仕上がっている。

一果は10歳と子供も子供だが、作中では異様に大人びており、子育てをテーマとした作品では全くない。しっかりした看板娘とそれを支える人々のハートフルな作品を、ロリコンとして我々が見る事になる作品だ。

10歳にしてこの正妻感。一果さんファンになってしまったら流石にロリコン判定だ。

物語の概要

主人公が実家の地元の駅に着いたとき、少女から「お父さん!」と声をかけられる。しかし人違いだったため、事情を聞けぬまま少女は走り去ってしまう。

信長君の人柄はなかなかハマっている役だな。方言は置いといて。

実家につくと主人公は元気なお父さんにぶっ飛ばされるが、その後母親を含めて話すと穏やかな雰囲気になっていた。父が病気と聞いて帰ってきたが、ただの痔だったという笑い話だ。それに加えて雪平一果という少女が看板娘として働いており、跡継ぎにするとか父親が言っている。こっちは笑い話ではない。

跡継ぎになる気が満々の少女一果。父親に預けられて緑松に住み込んでいる。

その後2話以降は主人公と一果の緑松での生活が始まる。大体は和菓子屋としてのエピソードだったりそこに住む従業員との話だ。緑松でバイトする女子高生美弦は顔を隠してギター動画をアップロードしていたが、身バレしてお店に迷惑をかけてしまう。それによりバイトも音楽もやめようとする美弦。それを主人公が止める展開だ。

親は反対するどころかめちゃめちゃ応援してくれる。身バレ騒動もほっといたら落ち着いたようだ。

その後は主人公の元カノが現れたり、同僚の女装男子の話があったりする。気になる内容だがここではさらっと進める。

こちらが元カノ。自分が振ったのに主人公に未練たらたらのいいキャラだ。
こっちが女装男子。

物語中盤では緑松に一果の母親が現れる。当然「一果を連れ戻しに来ました」と話す。怒るわけでもなく「ですよねー」と言う主人公とその父親。

旦那と連絡がつかず、調査会社に頼んで娘を見つけたようだ。人探しは調査会社で100万円程度らしい、難易度によるそうだ。(Webより)

満月の夜にかぐや姫に例えて寂しくなると話す一家だが、一果は母親についていかずここで暮らしていくことにしたようだ。

戻ってくる一果。当然と言えば当然だが露骨に母親への信頼が無いな。

その後も和菓子屋エピソードや年末年始の話があるが、本編が動くのは11話くらい。高熱で寝込む主人公の回想シーンでギターを教えてくれた先輩を思い出す。先輩は主人公の家の和菓子を気に入ってくれたそうだ。

こちらがその先輩。

立て続けに一果の回想シーンがあり、父親と別れることになったシーンが描かれる。ここだけは重い空気がある。どう見ても先ほどのギター先輩と同一人物ではあるが、作中では明確に議論されない。

最終話では一果は駅前に父親を捜しに行かなくなっていた。前向きになったのか諦めたのか。父親のことを思い出しブルーになっていた一果を励ますためか、ひらかたパークに遊びに来た主人公と一果。店員さんに親子と間違えられる二人。

可愛い一果さんが見られる。

その後は緑松の面々で一果の誕生日を祝って最終回が終了する。最初から最後まで暖かい内容だった。

和菓子のホールケーキって、食い切ったと同時に絶命しそうだな!

HighLight

京都の景色を中心として綺麗な背景の上に、恐らく原作準拠のデザインのキャラクターが綺麗な作画で描かれる。映像に不満が出ることはまずない。

数秒映すだけの映像に気合入れ過ぎだろ。

ここに限らず個人的に好きなところは、5話のような微妙な距離感の女性キャラクターを描いたシーンだ。概要でも紹介した「主人公に思いを寄せているバイトJK」美弦と「主人公に未練を残している元カノ」かの子、この二人の掛け合いが面白い。笑顔で話していても何を考えているかわからない、京都風あるあるに振り回される一果の顔芸も合わせて楽しんでいただきたい。

主人公に思いを寄せている二人と出かけることになった一果。意外と仲が良くて安心していたが、、、
「あの人は過去の女だから」的な発言をするバイトJK.
「恋に恋するJKのことなんて相手にしていない」的な発言をする元カノ。
このシーンで京都出身の女性作者である事を私は確信した。

地味に良かった所を一つ上げると、「初見さんに対する気配り」が地味にできている。そう感じたのは10話での母親と一果がクリスマスイヴに会おうと約束するシーン。10話の途中で主人公のなごむが、しれっと一果と母親の過去(6話周辺)のおさらいをしていた。需要があるかは分からないが、途中から参加した人でもバックグラウンドを汲み取りやすい作りとなっていた。アニメ特有なのか原作でもそうなのかは知る由もないが、こういう細かい気遣いは読者・視聴者に対する丁寧な態度を感じる。

クリスマスのくだりも結構好き。

LowLight

私はそこまで気にならなかったが、一果の両親に対して思う所がある人は一定いるかもしれない。事情はコミックスで明らかになっているらしいが、両親が別居している理由・父親が緑松に預けた理由などは”相当な理由”が無ければ納得できない人もいるだろう。だって子供を手放しているんだから。

本作では毒親と言うわけでもなく、別居している母親と一果がそこそこ良好な関係である事が描かれる。私は「ハートフルで良い」くらいに受け止めることにしたが、そこに違和感を感じてしまう人の感覚は否定できない。

あ、大事なことがもう一つあった。私は関西出身で、京都ではないが関西弁の使い手である。この作品の声優は京都出身者で固めているわけではないので、京都出身者で方言の出来に嫌悪感を持つ人はいる気がする。関西弁キャラに関西人当て込んでいると逆にめちゃくちゃハマり役になるだけに、ここは少しもったいなかったかもしれない。

関西弁で可愛いといえば真っ先にこいつが出てくる。関西弁キャラトーナメントも開催しようか。

まとめ

この「親代わり系」の作品はどこまでもフィクションに感じる。これは私がそういう育ち方をしただけであり、もし視聴者・読者の中に「親代わりとなってくれた恩人」が人生にいる場合は、作品への姿勢が変わっていくだろう。この作品をリアルに感じられる人は何気ないシーンで号泣している可能性もある。

そういう意味を踏まえると、実際に”親”の立場を経験していない私が、どれだけ感情移入していいかと言うと結構疑問である。こういう家族愛をテーマとした作品は年を取って家族を持ってから見ると景色が違うと思うのだ。1歳の子供を持つ私では正直”親”の目線で感情移入できず、未だに”子供”の目線しか待つことが出来ない。

庵野監督が松本人志との対談で「作品を楽しめない人が一定いることは仕方がない」と述べているシーンがあり、私はそこに100%同意している。何が言いたいのかと言うと、「作品を100%楽しめるかはその人のこれまでの人生によるよね」と言う話だ。

この対談そこそこよかったので是非。私は「さよならエヴァンゲリオン」の方を激推しするけど。

ずいぶんと脱線してしまったが、この『であいもん』のアニメとしてのクォリティは高い。あなたが子持ち、独身、大人、子供に関わらず、作品を楽しめると私は推せるが、あなたが世界で一番楽しめる人かどうかは分からない。全部見て確かめればいいのだろう。

やはりどの作品を好きか答えることは人生を語ることに等しい、そんなテーマの雑記もよかったらどうぞ。
タイトルとURLをコピーしました