公式サイト:TVアニメ「史上最強の大魔王、村人Aに転生する」公式サイト (murabito-a-anime.com)
【感想・評価】 点数:57
はじめに
半年しか経っていないのにタイトルを見て「なんだっけこれ、、、?」と固まってしまった。悪いのは僕か作品か。怒涛の数の転生系作品を前に、私の記憶領域が整理されていない。しかし下に張っておく女性キャラクターを見ればすぐに思い出すことが出来た。
本作は孤独に耐えかねた主人公で魔王でもあるヴァルヴァトスがアード・メテオールという2000年未来の村人に転生するというお話。2000年後の未来は魔法文明が衰退しており、主人公が強すぎちゃってどうしようといった感じの世界観だ。中盤までは主人公が強い・女の子が可愛いと、頭空っぽどころか頭部が無い人でも楽しむことが出来る。ただ、メインカメラが吹っ飛んだ人でも見れる作品だけに人々の記憶には残らない。終盤は過去・現代・未来の自分が現れ、戦う事となる。登場人物全部俺、というかつてない自己主張の激しいアニメとなっていった。
アニメ化作品としては破格のwikipediaの薄さも笑い所なのかもしれない。ただ個人的にはボロクソに言うほど悪くはない。正しい表現をすると「他の転生系作品と変わらず陳腐で面白くないので、この作品だけ特別悪いと文句を言うロジックが無い」みたいな感じだ。女の子が可愛いからまぁいっかという気持ちで見ていた記憶がある。
物語の概要
1話はアードとして幼少期を過ごすところから始まり、メインヒロインであるイリーナと出会う描写がある。1話の最後には数年後に飛んでおり、主人公がイリーナに「魔術学校に行こう!」と誘われる所で終了する。
2話からは学園に入学するところから始まり、主人公は入学試験結果が0点にも拘わらず合格となっていた。答案がハイレベルすぎて点数に出来ないが、天才児として歓迎されていたようだ。そこで、ついでに二人目のメインヒロインであるジニーがいじめられているところを助ける。
その後はジニーをいじめていた小悪党や、「このデザインが出てきたら終わり」という雰囲気の悪役を倒したり、イリーナが誘拐されて1話で取り戻したりする。全部主人公の無双シーンだ。
6話からはトランプを使って攻撃してきそうな子安とそれに操られたシルフィーが現れる。この二人は主人公が転生している事情も知っているようだ。
文化祭でバカ騒ぎした後にトランプマンに操られたシルフィーと戦うことになる。
恐らく原作者が描きたかったのであろう物語が9話から始まる。結構難解なストーリーなので頑張って読み解いてほしい。まず主人公とカキタレの二人は「神」と自称する寝巻の少年に不思議空間に呼び出される。そこで「あいつを倒して欲しい」的なことを言われ、目が覚めるとなんと主人公が転生する前の世界に飛ばされていた。
そこには当然、当時の自分が存在し、記事の冒頭で使った画像で安置されていた伝説の勇者”リディア”が生きている時代だった。
どうやら主人公は、この時代で「呪縛王メビュラス」に暴走させられたリディアをその手で殺すことになるらしい。リディアがメビュラスを倒す戦いについていく主人公。しかしメビュラスさんは首で転がっており。中から甲冑の男が現れ、立ち去ってしまう。
部屋で休んでいる主人公の元に甲冑が現れ「俺は神に呼び出された未来のお前だ、神からは世界を滅ぼせと言われている」とか言い始める。さらには「お前の未来は碌なことにならないから、俺と手を組め」と言う未来の主人公。
なんやかんやあって未来の自分と戦うことになり、倒して現代に帰ることとなり完結する。あまりにも雑な概要はこれで終わり。
LowLight
超絶量産型転生作品ではあったのは序盤・中盤だけで、後半の物語は意外とオリジナリティがあったのではないだろうか。時間軸を移動して過去の自分がいる。ここまではありそうだが、そこに未来の自分が登場する!これは新しい面白い設定じゃないか。
結論面白くなかったわけだがここでは一般論の話をしたい。面白い設定は冒頭の”集客”する断面で、話題になったり注目を浴びるために必要だ。しかし、ある程度集客した後は、登場人物たちの描写や展開で面白くする力が必要がある。この作品の様に面白くするために次々に設定を後出ししていては「今の設定では話を面白くできません」と吐露しているようなものだ。物語を面白くするのは設定ではなく、お前だぞと原作者に言いたくなってしまう。と私個人は思うのだが、いかがだろうか。
発想は何か可能性を秘めていそうなだけに、アニメ化において編集や周囲の人とガッツリどうすればいいか相談していればもっと良くなった気がしてならない。量産系転生作品ね、はいはいアニメ化アニメ化とやっている業界で、真面目に作品を良くしようとアドバイスしてくれる人は一体どれくらい居るのだろうか。
HighLight
Big Boobs.
まとめ
作品に対する感想が全く出てこない、心底どうでもいい。後半のオリジナリティを出すまではこれでもかというくらい量産的な展開しかなかったため、作品全体の2/3が虚無だ。時間軸を使った設定とか「リディアの末路を今度は自分が演じる」とかその時々の断面では、考えている感じはあるのだが、結局戦闘自体は主人公無双だけだったり、恋愛パートは欲求垂れ流しみたいな物なので、残念だがクォリティが低い。
「その設定もう飽きたよ」と散々言っている私が言うのもアレだが、作品が飽和した時代で”他の作品と差別化しろ”と言う方がもはや無理な欲求だ。良い設定は絶対にパクられる。その時差をつけるのは資金力だ。デカい会社がバックにつかなければ、いくら新しい・面白い設定をひねり出してもどうにもならない。
一定の人気を得てアニメ化も実現したこの作品に足りないものは何だったのだろうか?「もっと面白くできないだろうか」「これでいいんだろうか」「これじゃ面白いと思ってもらえないんじゃないだろうか」という姿勢が足りないのだろうか。「よしこれなら面白い、これで行こう」と踏み出すラインが浅かったのだろうか。面白いアニメ化になる作品と、ならない作品の差は未だに見つけられない。と憂鬱な気分にさせられる作品だった。
余談
「魔王」という単語ほど汚染された検索結果がでる単語も少ないのではないだろうか。人はなぜ魔王に惹かれ魔王を題材とした作品を作ってしまうのか。
これっぽっちも魔王に魅力を感じた事が無い私は週に4,5回また魔王出てるよって感じだ。数年後には魔王作品が絶滅している事を祈るばかりだ。