【2023夏アニメ】スパイ教室 2nd season【最終話(24話)後感想・評価】

【総評】恵まれすぎた極上のアニメ化、ファンタジア文庫の良心
点数:83

筆者が観測した本作の概要

マジで極上のアニメ化。本作『スパイ教室』はファンタジア文庫のライトノベルであり、なろう系の波に飲まれない古き良きタイプのライトノベルだ。昨今の潮流に逆らいたい私個人としては、本作のことを全力でバックアップしたい。率直な感想は、普通に面白い作品でした

1話だけで書いた感想記事はこちら。

1期では出番が少なく、イマイチキャラが良く分かっていないティア・モニカ・アネットが中心となっている。一応エルナもこっち側のチームだが、1期の隠し玉でもあり、個別回もすでに放送済みなので出番は少なめ。それでも「のーのー」言ってる可愛い置物になっていた。

私激推しのリリィも出番は少なかったけど、内容が良すぎてそれすら気にならなかったもんね。雨宮EDも聞けたし、楠木ともりEDも聞くことができておじさんニッコリしてしまうアニメでした。

落ちこぼれだった少女達の『成長』を描いた本作は近年最高のライトノベル作品だったと確信している。そんな面白い作品、スパイ教室ファンの皆さんと詳しく見ていこう。

HighLight

本作で構造上称賛したいのが1点。それが4人1パーティで構成したこと。

8キャラという人数は、1キャラ1話で時間をとってしまっては対して深堀りできずに1クールのほとんどを消化してしまう。しかし、本作では4話で4人の掘り下げを行うことで、視聴者のフォーカスを絞っていた

1キャラ1話で掘り下げると話も内容も軽くなってしまうが、この「4人を4話で掘り下げる」という構成は、30分ではできない4話規模のシリアスな展開もやってしまうことができる。このシステムはキャラの多いアニメではガンガン取り入れたほうが良い。めちゃくちゃ参考にした方が良い。

なんでこれができるかと言うと「キャラパワー(キャラ人気)が分散している事」が大きい。例えば1キャラを超有名人気声優にして、他は人気無しの色物キャラにした場合、人気キャラが居ない4話の間視聴者が離れていくことだろう。1期の感想でも書いた通り、日本代表レベルの声優を揃えたことは、本作の構成とも嚙み合っている、極上の選択だったといえる。

せっかくなので予想を超えてきた2キャラを手短に取り上げる。

一人目は上坂演じるティア。もうぶっちゃけこいつが主人公だろ。

武闘派ではないことに加え、頭脳でもグレーテに後れを取るティアは自分の無力感と向き合う事になる。それは13話~16話の中で描かれており、『灯』最強のモニカと対立するシーンや、捕虜となったマティルダに翻弄されるところで力不足が露呈する。

彼女の本質は誰よりも仲間思いであり、人を救う情熱を灯した正義感に溢れる少女だった。その行動原理はバックグラウンドとして『焔』の紅炉に救われたことが大きいようだ。”人の行動原理は経験・環境に紐づく”というロジックはエモくて嫌いじゃない。弱い自分を認めたうえで、強く優しくあろうとするなんて最高のキャラクターじゃないですか?1期ではただのセクシー枠だと思っていてすいませんでした。

もう一人目は楠木ともり演じるアネット。ただのいたずらっ子ではなかった

エルナを爆破しているだけの無邪気な子供かと思えば、その本質は冷酷を通り越したサイコ幼女だった。自らの育ての親であるマティルダを母親として『不合格』と位置づけ、逆にティアのことを母親のように感じていると言ってのける。

陸軍に引き渡せばマティルダに弱みを握られると判断したアネットはティアたちを出し抜き、マティルダの暗殺を実行する。頭脳が優秀で、残酷で、実行してのける技術もある隠れ強キャラだったことがわかる。ちなみにマティルダを殺した理由の1つは「身長が伸びていないと取れる言葉を言われたから」だったそうだ。些細な殺害理由を無邪気な笑顔で言うアネットが悪可愛い。

モニカも良かったんだけど長くなるのでこのくらいで。エルナは可愛い。

LowLight

作画は非常に良く、声優は超豪華、テーマは”少女達の成長と異常性”を描いており、深夜アニメには十分すぎる内容だった。ゆえに短所など無い。

まとめ

2クール貰える事も納得のクオリティだったように思う。むしろ2期のアネット、ティア、モニカ周りのストーリーは完成度が高く1期が霞むレベルで濃密な内容だった。

1クールで取り扱うことができるキャラ数ついては過去記事でも何度も書いてきたが、この作品ほど多くの人数を丁寧に描くことができている作品を見たことがない。普通の作品は、作者にもお気に入りのキャラがいたり、人気キャラが存在することで描写量が偏ってしまうことが起きがちだったのだが、この作者おそらく全キャラ好きなんだろうな・・・

1期は作画とキャラの良さで高得点をつけていたが、2期は内容までついてくるレベルで良かったので、クールを代表するレベルで良かったと思う。「こういうライトノベル作品のアニメ化が見たい」と声を大にして言いたい。

ちなみに「モニカの思い人は誰?」は気になりすぎて調べてしまいました。次アニメ化されるかどうかわからないし、遥か未来になるかもしれないからなぁ。そこの内容込みでモニカもかなり好きです。「心に炎を灯せていない」と評されて『焔』試験を落ちたチーム最強の氷刃モニカと、どう見ても心に炎がともっているティアの対比がめちゃくちゃ良かったですね。

あ、OPは1期2期ともに最高だったので張っておく。2期OPの『楽園』のサビにある”ここにある花は極上の血反吐を吐いて私が植えたもの”って表現、超好き。投下した時間やエネルギーを”血反吐”称するほど辛いものと理解した上で、極上と言ってのける考え方がそもそも好き。

個々の才能が開花するチーム『灯』のリーダーのコードネームが『花園』ってカッコよすぎませんか?これだから深夜アニメ辞められないでヤンス。お疲れ様でした。

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