【2023秋アニメ】豚のレバーは加熱しろ【最終話(12話)後感想・評価】

【総評】んんぁぁぁああ!!その着地ィ!!
点数:70

筆者が観測した本作の概要

本作『豚のレバーは加熱しろ』は日本のライトノベルであり、電撃文庫から出版されている。豚のレバーを食べて食中毒で意識を失ってしまった主人公が、異世界に豚として転生する。そこで出会った少女ジェスとの冒険譚が描かれる作品だ。

えっと・・・なになに・・・?

「イェスマ」と呼ばれる特殊な種族(ほぼ奴隷扱いの種族)である少女ジェスは他人の心を読むことが出来、16歳になってしまったから単身王都に向かわなければならないらしい。ついでにイェスマのつけている首輪とイェスマの臓器や骨は高値で売れるらしく、イェスマ狩りが横行する世界観だとかなんだとか

なんだこの設定!!!それに豚として同伴する転生者である主人公!!わけがわからん!!わけが分からんが、放送されるからには視聴するしかない。

と、思い視聴してみると、思いの他しっかりとした世界観が作られていることが分かる。「イェスマ」とは何か、「主人公はなぜ豚として転生したのか」が11話以降で次々に明らかになる。結論としては、色々と惜しいが悪くはない作品に仕上がっている。

ただ最後の着地点だけが私の趣味(願い)とズレていたので、そこだけは言及させてほしい。大事な話なので最後まで読んでいただけると幸いだ。

HighLight

通過儀礼なので手短に済ませるが、ジェスが可愛い。容姿・服装・声の全てが可愛いことに加えて、男性的なノリにも乗ってくれる(男にとって)理想的な優しい少女だ。現実にいたらロクでもない男にセクハラまがいの発言をされてそう。

このジェスが作品の厳しい世界観を強調するような儚さを秘めており、本作のメインにして最強武装だったと言って差し支えない。

早速ネタバレになるが、「イェスマ」は強大な魔力を秘めており、かつての暗黒時代を作った人種だそうだ。銀の首輪は魔力と・自我を抑えるような役割を秘めており、結果として奴隷のような扱いをしても反抗しないとのこと。「イェスマ」という奴隷がいることで社会の秩序を保つ一端を担っている。

これがジェスが心を読めたり、異様に優しいことへの布石になっていたようだ。ただ、悪戯に少女に厳しい世界観を作っているだけかと思っていました。すいません。

一方の豚さんは「王都への孤独な旅が怖い、誰か助けて」というジェスの願いを黒のリスタが形にしたものらしい。なので人間ではなく、豚という自分(ジェス)を手伝うしかないという状況を作り出しているとか、ジェスはそのことについて申し訳なく思っていたようだ。

豚なのに有能と言うギャップを作りたいだけかと思っていました。すいません。

という具合に「ほえーなるほどなー」となれる世界観も備わっている。ここは良かったよね?(同調要求)

(なんか説明書いてたら長くなってきたな。)ポップなタイトルと豚と美少女というキーヴィジュアルからは想像もできないほど暗く、厳しい世界観を持ち合わせており、その暗い世界観が、世界に抗う登場人物たちの輝きを際立てているこれが私が思う本作の長所だ。

嫌いじゃないよ!!絶望の中で希望を見出す物語嫌いじゃないYO!!

LowLight

こっちも通過儀礼だが、めちゃくちゃ作画がわるい。めっちゃくっちゃ悪い。第9話のブレース(能登麻美子)がイェスマ狩りからジェス達を逃がすために犠牲となる話とか、本作の良さが出ているシーンだったにも関わらず、世間的には「作画悪くて草」ってなってそうなのが非常にもったいない。

豚と少女と言う突拍子もない設定は人を選ぶかもしれないが、インパクト勝負の現代では悪い所だとは思っていない。作画さえよければ本作はもっと評価されただろうし、私も評価していたと思う。

まとめ

冒頭にも書いたが、作画が足を引っ張ったが内容が悪い作品ではない。これが本作の総括である。その上で、私が本作について一番書きたかったことを書かせていただく。

アニメ・映画・本・音楽・スポーツ。あらゆるコンテンツは「俺も頑張ろう」「自分も面白いものを作ろう」「この〇〇の良さを人に伝えたい」といった具合に、消費者(視聴者)を前向きにさせるような作品であってほしい。これは私個人の願いである。

そこでだ。本作の最終話は異世界から帰った主人公が虚無感の溢れる日常生活を送っていた。そこで、ジェスとの旅をWeb小説にした所、同じような経験をしたと話す仲間が集まる。異世界とのやり取りが夢でなかったと悟り、最後には異世界への帰還(豚の姿で)を達成するという終わり方だ。

そんなんじゃねェだろ!!俺たちが求めたアニメの極みは!!!

何故、”異世界で積んだ体験を現実で活かすんだ”じゃなくて、”元の世界に戻ってなお異世界に希望を持つ”終わり方にしてしまったんだろう。

ジェスとの旅を糧にして現実世界でも活躍し始める主人公の姿が見たかったです。

絶望的な世界で希望を見出していた「イェスマ」達のように、地獄のように感じる現実に立ち向かう主人公が見たかったです。

その姿をみて視聴者が前向きになれる作品にして欲しかったです。

ぶっちゃけ商業的に続きを書くためには異世界に戻すしかなかったとかあるんでしょうけどね。作画悪い事と、この着地が好みじゃなかったというだけです。繰り返すけど思ったより面白い作品でしたよ。

「豚のレバーは過熱しろ」ってタイトル回収も綺麗でしたね。お疲れさまでした。

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