公式サイト:TVアニメ『便利屋斎藤さん、異世界に行く』公式サイト (saitou-anime.com)
【最終話感想・評価】 点数68
【総評】アニメーションの出来はすごく良いのだが、1クールでやるには情報量が多い。
はじめに
他の転生系作品に混ぜるには失礼なくらいしっかりした?普通の?漫画作品だった。主人公のサイトウは前向きで嫌味がないし、半マデラカ(15cm)だし、見ていて不快感は無い。ヒロインのラエルザは可愛いし、ムッツリだし、可愛い。この作品は、異世界物が好きな人なら結構好きになって貰えたんじゃないだろうか?異世界物が嫌いな私でも、思ったより好きになれたと言っておく。
それにしても原作の絵柄が独特でカッコいいな。ボキャブラリー機能を前世に捨ててきた私の言葉では表現できない魅力がある。アニメだとそれが再現されていなくて残念だっただろうか?原作ファンの声はどうなっているか知ることは無かった。
結局便利屋ってなんだったの?鍵明けるか修理するくらいしか無かったような。終盤はよくわからない悪魔との決戦が行われ、モーロックが獣耳のイケメンに若返る。よくわからん。よくわからんけど、クオリティの高い映像である事だけわかった。
様子を見るような態度になってしまった1話感想はこちら:
最終話概要
最終話は大きく3つに分ける。戦いの後、ラファンパンとのデート、エピローグだ。
11話の戦いがおわり、サイトウは目を覚ます。ラエルザの話ではジジイの魔力は無尽蔵なので決して死んだなどではなく元気にしているらしい。受付に行くと宿屋のバイトと言う体裁でセクハラをしていた。元気なジジイだ。
ラエルザの過去をモーロックから聞いたと話すサイトウ。そしてラエルザは自分の事を変わり者だから人からあまり必要にされない、と話す。それに対してサイトウが「誰よりもラエルザを必要としている」というプロポーズともとられそうな大胆な発言をする。その後髪留めをプレゼント。別に付き合うとかそういう話では無かったが、お互いの信頼が深まった感じがする。
続いてラファンパンが不思議なツボ?を風呂代わりにしたことで人間サイズになる。そしてサイトウとデートしてちょっと良い感じになったりする。肌色の多い7分間だった。
最後はサイトウがこっちでも便利屋やろっかなーと話、パーティが前向きな発言をしてくれたりする。その後は今までのキャラクターが大集合して大団円で最終回が終了だ。サイトウは人気者になっているようだ。
HighLight
異世界冒険のあるあるみたいな描写がメインであり、色んなキャラを出して色んな笑いを提供してくれた。コメディのセンスも結構嫌いじゃない。モーロックがラファンパンがマデラカ扱いしている下りとかしょーもないけど面白かった。何歳になっても下ネタは楽しめるようだ。
次に色んなキャラにバックグラウンドを与えて、各々に感動的な物語を用意している。これも結構嫌いじゃない。アニメの中ではペースが速すぎたため細かい所はアニメ勢の私には汲み取れなかったが、”気持ち悪いorセンスのない物語”を提供しているようには到底見えなかった。
加えて、アニメーションのクオリティが抜群に高い。絵は綺麗で魔法はド派手で背景は世界の広さを感じる鮮やかさがあった。ここのスタッフならどんな作品でも期待して見る事が出来そうだ。
LowLight
なのに大して面白くないのは何故か?
原因は30分アニメに向いていないに尽きる。登場人物の多さ、笑いと感動、やりたいことに対して尺が完全にあっていない。狼の話とか唐突な割に、結構情報量が多くて困惑するしかなかった。ここはシンプルにモーロックとラエルザの親子関係の話とサイトウだけの話で良くなかったか?
「ラスボスの悪魔が双子で、過去に母親に裏切られてて~」とかその設定いるか?原作は尺があるから好きにしてもらって良いけど、アニメ化の時に必要だったか??個人的には絶対要らない。凝った設定は良い事だと思うけど、アニメ化の時にはある程度引き算をした方が良いのでは?”量的な良さ”ではなく、”質的な良さ”を突き詰めた設定の方が私は好みだ。
この作品は”10を超えるキャラクター達と笑いと感動のアニメ(30分1クール)”を地で行くスタイルであり、基本的には尺不足。作品に対する思いが募った原作ファンはともかく、アニメ勢にまで感動しろというのは無理だ。
原作は悪くないし、アニメスタッフも悪くない。誰が悪いかと言うと『リフレーミング(アニメ用の最適化)するアニメスタッフに対してボコボコに叩いた、過去作品の原作ファン達』だろう。そして、『原作通りに作るスタッフを絶賛した信者達』だろう。世論が与える影響は思っていたよりもデカイ。キモオタがネット上で騒ぎ散らかすのは、バタフライエフェクトならぬバカデカイエフェクトなのだ。
基本的には、批評にも”業界を良くする効果”があると信じているが、良くなる過程で避けられない悲劇があり、この作品も被害者となっている可能性がある。という事を伝えたかった所存だ。
まとめ
「彼が誰かの役に立ちたいと願ってて、それしか叶える方法が無いなら そうさせてやって欲しい」
7話でサイトウがキスルギに送った言葉な訳だが、かなり作者のメッセージ性を感じる。人の背中を押す様な優しいメッセージだ。HighLight、LowLight好き勝手書かせて貰った訳だが、この作品を楽しんだ人はたくさんいるし、面白いと言っている人も一定数居るのだろう。「異世界系作品はつまらない」と切り捨てられるには惜しい作品ではあった。
ちょっと冗長に感じる設定はあったのだけれど、他の転生系作品の5倍くらいは面白かったんじゃないだろうか。今季はライバルが一人強いのがいたので仕方ないが「異世界orなろう系作品TOP3」には入れたんじゃないだろうかと思う。
しかしまぁ、アニメスタッフのレベルが高いってアニメ化の最重要パーツだよね。(当たり前体操)ハズレスタッフになってたらこの作品どえらい事になってたと思います。当たりで良かったですねお疲れさまでした。
余談
この作品に限った話では無いが、感動系の作品と視聴者で温度差が発生するのはどうにかならないのだろうか?少しその背景を少し想像してみる事とする。
製作スタッフは昼も夜も「この作品を良くしよう」と向き合い続けるため、作品やキャラに対してかなりの愛着・思いが募る事は想像に難くない。その募った物こそがで「最高の1クールアニメが完成した!!」と送り出したにも関わらず、新規視聴者と温度差がやばい現象を引き起こす原因なのではないだろうか?
もう少しだけ、「視聴者はまだこの作品の事がそんなに好きな状態じゃないかもしれない」という客観性を持っている人がいれば、作品の”制作陣のオ●ニー作品化”を防げるのではないのだろうか?
まぁ私のブログだって同じことが言えるのだけど。クリエイター総オ●ニー星人説が浮上してきたな。