公式サイト:TVアニメ「RPG不動産」公式サイト (rpg-rs.jp)
【感想・評価】 点数:55
はじめに
主人公の琴音は就職先の王国を訪れ、働くことになるRPG不動産で自身の住まいを見つけることとなる。物語は同じ職場の亜人のファー、僧侶のルフリア、戦士のラキラとともに様々な事情を抱えたお客の物件探しをサポートすることがメインとなっている。先に言っておくが、頭空っぽで可愛いキャラクターを見れることに定評のある”まんがタイムきらら”至上最低点を記録している。
なぜこんなことになってしまったのか責任者に説明して欲しい。問題点をいくつか取り上げさせていただくと共に、きらら作品ファンとしてのコメントを添えさせていただく。
物語の概要
学校を卒業し、魔術師になった主人公の琴音は王国を訪れる。そこで、ファー、ルフリア、ラキラと出会う事となる。
1話は主人公の住まいを決め、実はRPG不動産で働く新人が琴音だったことが発覚して終了する。
2話は魔王城を不動産価値があるかを確認したり、3話でネクロマンサー向けの物件を紹介したりと、不動産っぽい業務をこなしていく。そのなかでドラゴンに関する描写がチラチラ出てくる。これが物語終盤につながっていく。
AパートやBパートので完結する内容が多く、ラキラとルフリアの過去の話や二人の仲が深まる展開、水着回などが行われていく。その中でファーに関する掘り下げが行われ、その中で主人公はファーがドラゴンに関係のある可能性に気づき始める。
そのまま7話、8話、9話と進んでいき、主人公の実家にファーと一緒に帰ったり、占い少女の物件を見つけるついでに結婚相手も見つかるなどサブエピソードが起きる。ファーの正体が決定的になったのは主人公が夜目を覚ますと隣のファーがいなくなっていたこと。
火災の現場にファーがいたことが手配書として残っており、ファーは国にとらわれてしまう。不動産設定はどこに行ってしまったんだ。
ファーを護送する最中に本物のドラゴンが現れる。どうやら火山に住んでいたのだが地上に現れたようだ。詳しいことはよくわからないが15年前に倒された魔王と呼ばれていた存在と一致するらしい。
しかしこのドラゴンと和解する過程でファーが本来の姿になる。ドラゴンファフニールからもじってファーと名付けられたそうだ。最終話で発覚するがファーは15年前戦いが終わった時に見つかった魔王の子供?疑惑の少女だったようだ。なのでこれは親子喧嘩。物理的に説得して解決する。
しかし暴走するファーの一撃によって命を落としてしまった主人公。魔法で見た目は綺麗にしてくれたそうだが魂は無いらしい。そこに物件を紹介したネクロマンサーが現れ、魂を入れ込んで復活する。
その後4人全員島流しになるが、そこで不動産業をやってもろもろの問題が解決したら王国に帰ってきていいそうだ。こうして物語は完結する。逮捕者がでて、死者がでて、島流しにされる。とてもきらら作品とは思えない仕上がりだ。
HighLight
およそ褒められるところは一つもない。全部短所に書くと可哀そうなのでここに書くが、セクシーな描写が多い。物語の概要を見ているだけでも肌色が多いことに気が付いたはずだ。後述する作画レベルの低さも相まってあまりにも下品な印象になってしまった。
LowLight
まんがタイムきららはそれぞれの世界観を持ちながらも「平和な社会」「基本的には現実ベース」というイメージが強い。思い返せば夢喰いメリーとか例外がいるが、それはおいといて。このPRGという世界観が、昨今の転生系作品の潮流にあやかっているようで幻滅したのを覚えている。ちょっとゲーム的な内容を盛り込んだ世界観と思えばよかったのだが、それをきらら作品がやっている事に少し驚いたのだ。
次に作風のフワフワした雰囲気とは合わず、下品な描写が多い。原作準拠なのかわからないが突然つっ込んでくる。そして描くからには全力でやりますという、ちぐはぐな熱量を感じる。視聴者のほとんどは「これいる?」と固まったはずだ。
ここまでは言い換えれば”きらら作品ファン”を語る人物が自分勝手なきらら作品の定義を持ち出し、ケチをつけているように見えるかもしれない。
しかし終盤のドラゴンのくだりは誰がどう見たって擁護のしようがない。不動産パートは100歩譲ってユル面白い内容だったとして、主人公を殺してまで用意したお涙頂戴的な展開はいかがなものか。
突然のシリアスシーンと言うわけではなく、3話から入念に伏線を用意して準備したシリアスシーンだっただけに、なおさら理解が出来ない。Fateの桜ルートが好きだから自分の作品でもやりたかったのだろうか。
まとめ
あえて書かなかったが作画とキャラクターデザインが結構悪い。原作の絵はちょっと目が離れているのが気になるくらいで、そこまで変な絵柄ではないのだが、アニメでは安っぽい角ばった絵柄になっている。内容もひどいが絵柄もひどいので仲良くなれる要素が一つもない。
簡潔にいうと”何がしたいのかわからない”作品だ。真面目な話を書きたい人格とユルフワ不動産物語を書きたい人格が同居する解離性人格障害者が作った作品のようだ。アニメクォリティは原作者に罪は無いように見えるが、前述した通り「何をテーマにしているか」を整えれば、それなりの予算とスタッフが揃っていたのかもしれない。きらら作品の枠を外れた割には、碌な結果を残せず立ち去った異端者。これほど思ったのと違ったと思わせた作品は無いだろう。