【総評】進捗がありそうで進捗がない、大手SIerのトラブル対応報告みてぇなラブロマンス
点数:72
筆者が観測した本作の概要
本作『白聖女と黒牧師』はPixivで描かれていた漫画が加筆・リメイクされてマガジン系列の雑誌で連載されているそうだ。別に完結しているわけではなく、絶賛連載中とのこと。本作のアニメ制作会社は動画工房であり、高いクォリティと安定感から人気が高く、2023年も大活躍した大当たりアニメ制作会社だ。動画工房って本来こういうアニメを作る会社だった印象がある。
この作品は、可愛らしいヒロインの聖女様セシリア(以降聖女様と呼ぶ)と、黒牧師ローレンス(以降主人公と呼ぶ)の二人のイチャコラ系の作品となっている。加えて、この作品特有の”聖女”という自己犠牲を強いるような世界観と、主人公が精霊や天使が付きまとわれるという体質がスパイスとなってくる。
はずだったのだが、これらの設定は彼ら彼女らのラブロマンスを揺らすような役割は無く、終始平坦な物語が続くこととなった。これはこれで悪い事ではないのだが・・・
HighLight
ヒロインである聖女様はその役職にふさわしい聖人っぷりで、人々を守るための役割を全力でまっとうしている姿が描かれる。とにかくカワイイ。ゴリゴリのオタクに受けそうな清楚系のキャラクターでありながら、心を許している主人公の前では甘えてしまうというギャップ付き。カワイイ。
ちなみに、私は「名誉お嬢様口調」のヘーゼリッタの方が好き。近所の世話焼きおばさん的なムーブで、聖女様と主人公の恋愛を取り持つような働きをしてくれる。恋愛を加速させる舞台装置を担う一方で、6話・9話の彼女主導の物語では、男組二人(ローレンス・アベル)の過去の話や、人の幸せを願って亡くなってしまった、聖女フレデリカの話が描かれたりと中身が濃い。平坦に見えるこの作品の解像度を上げてくれた、有能なキャラクターだ。
ちなみに、本作のヒロインである聖女様を演じた澤田姫は本作が初主演だった様子。新人?なのに全く違和感なかったぞ、頑張ったんだな。おじさんは見ていたぞ。まだ彼女のwikiが存在しないので同志の人が作ってくれることを祈る。
LowLight
穿った見方をするとやはり内容が薄い。人の幸せを願って本人は幸せになれなかったフレデリカのようなピンチが聖女様にあるかというと、そういうわけでもなく、ローレンスの体質でひと山あるかと思ったら、アニメ化の中ではほとんどない。
今度は恋愛面でみると徐々に距離感が縮まっているように見えるが、言語化するとほぼ進展はない。なんか大企業のトラブル対応ぐらい進展がおせぇな!!あの手この手で進捗があるように見せて、実際は何にも進んでない大企業のトラブル対応のデイリー報告みてぇなラブロマンスだなっ!!
「重大な問題と受け止め、原因追求と解決策を提示します」「原因追求のために増員し、特別な体制で調査を進めます」「原因と推測される情報をまとめ、開発元にエスカレーションを実施しております」
うん、進捗ありそうな雰囲気!実際は何も進んでないけどなっ!!
なんの話でしたっけ?あぁ、そうだ。鈍感主人公は恋愛アニメでも、ビジネスシーンでも基本要らないという話でした。
まとめ
アニメ内でも聖女様がローレンスに思いを寄せていることが明確に分かる描写は多くある。そんな中、「好きな人の前ではだらけてしまう」という聖女様の特性は我々男性サイドでは理解しがたいものだ。
男だったら好きなこの前でカッコつけたくなるよね?私も中学校の時はイキり散らかして、好きな子の前で「好きなアーティスト・・・?Eminemとか?」って言ってましたもんね。イキり男子中学生よりキモい生き物はこの世に存在しない。
大幅に脱線してしまったが、冒頭にも書いた通り動画工房が送る本作のクオリティは高く、原作ファンも満足するような仕上がりだったのではないだろうか?強引にアニメ感想っぽい締め方をしようとしている自分に草生える。まぁ、起伏のないラブコメの感想記事書くのって難しいよね、、、、
作画良し・内容も悪い所も無し・女の子もカワイイ!とくれば70点越えの高得点納得するところだ。1クールに1本はこういうアニメがあってくれて良いんだ。
ところで聖女様役の澤田姫さんや、主人公のローレンスのことをずっとローレンと呼んでいませんでした?そういうものだったんですかね?お疲れ様でした。