公式サイト:TVアニメ「社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。」公式サイト (shachikusan.com)
【感想・評価】 点数:53
はじめに
月間ガンガンで連載する漫画らしく、2巻の発売に合わせてPVが公開されたそうだ。生まれた時からアニメ化の期待を背負っていた作品らしく、歴史の長い作品ではないようだ。作風は仕事に忙しい主人公の元に不思議な生き物が現れ、それに癒されるというものだ。類似作品に『メイドラゴン』があげられる。タイプは同じなのだが、あっちは天下の京都アニメーションの作品だ。内容はともかくアニメーションのクォリティで肩を並べられるものは極めて少ない。
仕事に疲れた会社員をターゲットにした作品であり、これがアニメ化されるという事はアニメ視聴者の高齢化が深刻である事に他ならない。
物語の概要
本作はゆるふわリラックスアニメなので物語に大きな起伏は無い。なので簡潔に進めさせていただく。
主人公の「社畜さん」こと伏原さんは納期が近いため深夜2時まで開発を進めていた。するとそこに「立ち去れ」という恐ろしい音声が聞こえてくる。
声の元をたどると可愛らしい幽霊?幼女?が隠れていた。主人公はこの幽霊ちゃんと仲良くなり、一緒に暮らするようになる。幽霊さんは無理して働く社畜さんを帰らせるために「タチサレ」を連呼していたようだ。
4話くらいで捨て猫を拾うエピソードがあるが、実際は化け猫だったようだ。幽霊ちゃんと異なりこっちは質量があるため、普通の人でも見ることが出来るらしい。
妙に記憶に残っているのはみゃーこの過去の話が明らかになる6話だ。優しく怖いおじさんに拾われ生活する話と、その別れが描かれている。
隣人の倉橋さんの家にも不思議な生き物が住み着いていることが発覚する。なんやかんやで家主と仲良くしているリリィは石原夏織が演じている。
最終話ではようやく4人目の幼女?御子神様が現れる。実年齢は806歳だそうだ。話が進むごとに登場キャラクターが増えてOPに登場するキャラクターが揃ったところで1クール分の放送が終了だ。
HighLight
恐らく日高里菜ファン、金元寿子ファンは喜んだことだろう。読者の友人に日高里菜ファンが居た場合はこの作品を話題に出してあげよう。登場人物が少なく、起伏が少ない作品の方が声優追っかけとしては嬉しい所だ。これが私の激推しの声優セットだった場合は感想が違ったはずだ。
随分オブラートに包んで表現したが、私個人としてはこの作品に良い所は感じなかった。せめて絵柄が私の好みだったら『仙狐さん』くらいには見れたのだろう。
LowLight
ちょっとテンポが悪いのはアニメ化の弊害なのだろうか。原作は勿論未読なので、どれだけ再現できていたかわからないが、キャラクターの好感度抜きにして、キャラ同士の掛け合いを楽しめと言われると厳しいものがある。
デザインに関しては悪い所ではない。原作をリスペクトして絵柄を踏襲した結果であり、制作側が求められている事をやっただけ、それが私に刺さらなかったと言うだけの話だ。ただ、絵柄が合わなかった人を完全に捨ててしまう構造は頂けないように思う。
漫画原作はキャラやシーンを描きやすいため、製作目線では詳細設計が終わった段階からスタート出来るのが魅力だ。しかし、原作の絵柄・内容を弄ってしまうと原作ファンから”原作レイプだ”と苦言が飛んでくる。要するに漫画作品は「原作の作風次第では、幅広い客層を相手に出来ない」という短所を持っているように思う。諸君が1話切りするのであれば、漫画原作作品は1話で合わなかった場合、その時点で切ってしまって良いと思う。
まとめ
私の中でこの作品が刺さらなかったのは幽霊さん達を可愛いと思えなかった。そこに付きる。可愛いと感じていない者を「可愛い」と取り扱われ、その映像を流されると30分が軽い拷問に変わる。ところが幽霊さん達を可愛いと思えるのなら話が変わってくる。30分が最高のリラクゼーション時間に変わり、1クールどころか1年間放送してくれても良い、と感じるようになるはずだ。
もう一点だけ気に入らなかった箇所を触れさせてほしい。たかが設定ではあるのだが、社畜を受け入れている所が最高に受け付けない。
主人公の社畜アピールがくどくて結構見ていてきついものがある。経験上、終電を超えてタクシー帰りの時期もあったが、みんなで残って「これどうしようもないな」と笑いながら仕事している状態だから受け入れられた。しかし、この主人公は一人残って仕事をしている。その現状を受け入れていることが受け入れられない。
「社畜という立場の自分は被害者だ」と思い込んだら終わりだ。現状を良くしようと自らアクションしない人間は、構造上積んでいる。人間性の好き嫌いや感情論ではなく、理屈の話をしている。あれ?私は何の話をしているんだ?社畜さんの話になってしまった。