公式サイト:アニメ『「艦これ」いつかあの海で』公式サイト (kancolle-itsuumi.com)
【1話感想・評価】 期待度★★☆☆☆
はじめに
今季最後の新顔となる本作『艦これ いつかあの海で』。結論を先に言ってしまうと「昔、艦これが好きだった人は覗いてみてもいいかもしれない」くらいの出来だった。あとは第2次世界大戦に詳しい方、そんな真面目な趣味の人が見ないか。
何から書こうかと思ったがまずは作品の背景から。艦これは2013年に爆発的な人気と共にサービスが開始し、一気に大きなコンテンツに成長した。その後アイドルアニメや携帯ゲームなどコンテンツが異常なペースで増え、ユーザの取り合いが激化した頃に静かに勢いを落としていった。そんな中アニメ化が2015年に行われ、1期の終わりには映画化と2期製作が報告されたらしい。映画は2016年に放送されたものの、2期は遅れに遅れてタイトルが変わり、今年の放送となった。
題材は1944年のレイテ沖海戦を主題としており、主人公の時雨は捨て駒に位置付けられた部隊に所属する事となる。1期や映画もそこそこ暗い話もあったが、今回は特に真面目な雰囲気が出ていた。
物語の概要
OP前は恐らく空母の先輩と主人公の時雨が戦っているシーンから始まる。味方の窮地を救おうとする時雨に敵の奇襲が来たところでOPに突入する。OPはXJAPANのToshi。説明できない笑いが発生する。
その後回想シーンで白露っぽいキャラクターを送り出す。戦争も終盤のようで退場したキャラクターがいくつかいるようだ。
時雨は浜風に部隊が決まったと連絡を受けて、自身の舞台を確認する。第2次世界大戦の日本海軍に明るくないため何が何だかさっぱりわからない。
同じ舞台の最上と部屋に入ると扶桑・山城と駆逐艦がいた。若干山城の態度が悪くもめ始めるが、舞台としてまとまりだす。そしてこの部隊が「半端者を寄せ集めた、囮の舞台だ」と山城から事実を突きつけられる。
その後はセリフも少なく、扶桑からかんざしを受け取る時雨。そのまま主人公の舞台は戦地に赴くシーンで1期が終了だ。
HighLight
陸海空の海といえば今でも艦これという風潮はあり、私の中ではハイフリでもなくアズレンでもなく艦これだ。ミリタリー作品の需要を満たすべく、武装の描写やキャラクターの装飾品、そして海の描写の美しさには自信ありといった態度は称賛に値する。
シリアスに振り切った内容も個人的には嫌いではない。キャラ人気者のミリタリー作品ではキャラを殺せないパラドックスを孕むが、史実ベースのこのアニメはキャラを殺せる。これは個性であり、長所となる可能性がある。
絵柄はアークナイツには劣るものの気合を入れてきた感じはあり、CGも7年前の1期と比べれば凄まじい成長を遂げている。
LowLight
あまりにも遅すぎた。旬を過ぎて再燃しているわけでもないのにこのタイミングでの放送で驚いている。コロナで吹っ飛んだ事情もあるのだろうが、一度決めたものを撤回出来ない、コンコルド効果のような悲痛な現場の声が聞こえる。
それでも一定のファンのために責任を果たす作品としては良い側面もあり、袋叩きに合うほど悪い内容の作品でもない。悪く言えば知っている人しか楽しめない作品であり、私のような過去ユーザも消えかかった記憶で見ているので、延期となった代償はやはり大きい。
シリアス展開も2014年に放送していれば、手放しで「艦これは神」と言われていた可能性が高いだけにもったいない。
旬の終わった作品が突如シリアスを放り込んできたため世間では「急に暗い顔してどうした~?」と茶化されている事だろう。見た目がちょっと特殊でフィギュアスケート初心者のようなボッ立ちスライド移動は海の綺麗さを殺しており、やはりシリアスとマッチしない。
まとめ
最高到達地点が「選民意識の強い既存ファンにとっての隠れ名作」という位置なのは苦しいが、放送するからには一人でも多くの人に満足してもらう他ない。元艦これユーザで、本作を恣意的に楽しもうとしている私が楽しめない内容だとしたら、この作品の未来は暗い。不安要素はキャラのアップが多くED映像の止まり方からも省エネを感じる事。作画コストが高くて後半体力が持つのか不安な幕開けだ。
ぶっちゃけ見ていて楽しかったが「顔出てないけどこの子めった可愛かった気がする!!」みたいなクイズ要素での楽しみが強く、作品自体が意図した面白さでは無かった。今は「なっつ!(懐かしい)」以外の感想が出てこないが、見ている内に”作品にのめりこんでしまった”となるような作りに出来るか期待したい。
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